2017年度活動レポート(一般公募コース)第220号
フィリピンの学生と共に学ぶ、自然災害へのリスクマネジメント技術
東京都市大学からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援によりフィリピン・デラサール大学大学院生5名が、東京都市大学工学部都市工学科で「自然災害に対するリスクマネジメント技術に関する学生交流」をテーマに課題解決型学習に取り組みました。
本学とデラサール大間には交流協定(MOU)が締結されています。平成28年度、本学学生10名がデラサール大学を訪問して研究交流セミナーを実施し、本学およびデラサール大学双方から取り組んでいる研究テーマの紹介があり、自然災害に対する防災および減災技術に関する内容が共通しているテーマとして強く認識されました。
我が国は、地震・台風などの自然災害に対しての減災技術に関しては世界最先端であり、デラサール大学の学生を本学に招へいし、自然災害に対する構造物のハード的な対策とリスクマネジメントなどのソフト的な戦略を学ぶ機会を設けることが双方で一致していました。
今回のさくらサイエンスプログラムによる交流では、「安全・防災系」分野で平成29年10月8日〜10月17日の10日間で、自然外乱に対する減災技術について研究交流および施設見学を行いました。
研究室への配属は、各教員の用意したテーマの説明を行った後、学生の専門性、興味によって行なわれました。
2名の教員が指導した構造安全研究室では、「複合材料で構成された柱の信頼性設計法」および「地震時における橋梁免振装置の挙動特性」、水圏環境研究室では、「津波・高潮に対する減災技術の日本とフィリピンの比較」に関する研究が行われました。特に、津波・高潮に対する減災は、両国で共通した課題です。
また、災害軽減研究室では、「地震ハザードマップの作製」、地盤環境研究室では、「透過性を有する地盤を模擬した材料の挙動」について研究が行われました。各研究室では、教員と共に学部生および大学院生が、実験・解析等の補助をしました。
研究室での活動風景
昨年度本学学生がデラサール大学を訪問して研究交流を行っていることから、一部の学生は面識があり、コミュニケーションもスムーズに行われていました。
10月16日の午前には、防災技術のハード的な側面を学習するために、建設会社の技術研究所を訪問して、最先端の制震技術などの見学を実施しました。
10月16日には成果発表会が行われました。この発表会には学生を指導した吉田郁政教授、丸山收教授、白旗弘実教授、伊藤和也准教授、三上貴仁准教授と都市工学科教員と学生、さらに本学の国際センターの木下講師、デラサール大から本学の教員として赴任中のヒメネス特任准教授が出席しました。
成果発表会
今回の招へい学生は、全員が大学院生であり、各自の修士論文テーマの一部として本学での研究活動を行っていたことから、成果発表会は非常に充実した内容であり、活発な質疑応答が行われました。
発表会終了後、都市工学科主任の丸山教授よりの招へい学生へ修了証が授与されました。
さくらサイエンスプログラムは本学にとって、海外の大学との本格的な交流事業の第一歩となっています。このさくらサイエンスプログラムの成功を重ねることで、今後、更なる、共同教育プログラムの構築に向けた取り組みのはずみとなることを期待します。