2017年度活動レポート(一般公募コース)第218号
最先端の大気環境シミュレーション技術を学ぶ
大阪大学からの報告
大阪大学大学院工学研究科では2017年10月2日~11日の10日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、中国の内モンゴル師範大学から大学院生2名、モンゴルの気象水文環境研究所から研究者1名を、環境・エネルギー工学専攻近藤研究室に招へいしました。期間中は、大気環境シミュレーション技術に関する講習を中心に、学生交流、科学技術施設の見学を行いました。
中国の大都市やモンゴルのウランバートルでは、深刻な大気汚染が問題となっています。近藤研究室は最先端の大気環境シミュレーション技術を保有していますので、大気汚染の予測・解析や対策検討に役立つシミュレーション技術を習得してもらうための講習を行いました。
10月3日からの講習では、まず、大気環境シミュレーションの基礎知識習得のための講義を行い、その後、大気環境シミュレーションシステムの構築演習、日本・中国・モンゴルの大気環境を対象としたシミュレーション演習を行いました。
システム構築からシミュレーションの実施および結果解析まで、全てLinux上でのコマンドライン操作を使いましたが、内モンゴル師範大学の学生2名は、この操作に慣れるのに苦労していたようです。
近藤研究室の学生との交流として、10月3日には歓迎会を開き、10月6日には各学生に地球全体~室内の様々な空間スケールでの環境動態に関する研究テーマを紹介してもらい、ディスカッションを行いました。講習会の息抜きを兼ねて、週末の10月7日は、ユニバーサルスタジオジャパンを大いに満喫してもらいました。
10月4日は、大阪市立科学館および大阪府立環境農林水産総合研究所の見学を行いました。大阪市立科学館の展示内容は多岐にわたっており、日本における科学研究の概要について、興味を持って学んでもらうことができました。展示の多くは日本語の説明しかありませんが、中国からの留学生が、適宜翻訳しつつ見学を行ったため、特に問題はありませんでした。
環境農林水産総合研究所では、所属研究員の方から、大阪府における大気環境測定の手法、測定結果に関する説明を受けました。日本国内ではNOx排出量、NOx濃度が低下している一方、Ox濃度がそれほど低下していない点に関して、招へい者と研究員の間で議論を行いました。
その後研究所内の見学を行いました。研究所内の大気質の分析機器やアスベストの測定機器などについてどのように使用するのか、測定の目的について、所属研究員の方から説明を受けました。研究所の見学は全体で3時間を超える充実した内容であり、招へい者の大気環境に関する理解が一層深まりました。
大阪府立環境農林水産総合研究所見学
講習最終日には、構築した大気環境シミュレーションシステムを用いて、内モンゴル自治区の省都である呼和浩特やモンゴルのウランバートルを対象に、降水などの気象現象やPM2.5などの大気汚染物質のシミュレーションを実施し、招へい者3名に、無事、プログラムを修了してもらうことができました。
さくらサイエンスプログラムにご支援いただいたことで、国際的な教育・研究交流を行う貴重な機会を得ることができました。ここに厚くお礼申し上げます。