2017年度活動レポート(一般公募コース)第214号
インドネシアの若者が、最先端木質科学を肌で感じる1週間
名古屋大学からの報告
2017年11月20日から26日にかけて、インドネシア共和国・ガジャマダ大学から10名の大学生・大学院生が同大学Sri Nugroho Marsoem教授の引率によって名古屋大学大学院生命農学研究科を訪問し、「最先端木質科学を肌で感じる1週間」と題した1週間の科学技術交流活動プログラムを受講しました。
森林資源が豊富で、木材工業が国の基幹産業となっているインドネシアの大学生・大学院生に、日本における木質科学研究の一端を紹介することを目的として実施しました。
11月20日
中部セントレア空港に到着し、名古屋大学学生とのウェルカムランチで交流を深めた後に、川北一人生命農学研究科長および下村吉治同副研究科長を表敬訪問しました。
11月21日
土川覚生命農学研究科教授による導入講義を受け、日本における木材工業の最先端トピックや具体的な事例について学びました。その後、名古屋市内にある木質廃材工場(名古屋港木材倉庫株式会社)を訪問し、日本におけるリサイクル現場の実態について理解を深めました。このような工場は、インドネシア国内では珍しく、とても強い印象を受けたとの感想を多く聞きました。
11月22日
木質廃材工場で採取したいろいろな廃材を熱圧縮処理することによって新規ボードを作製する実験に取り組んでもらいました。製造手順そのものは単純なのですが、廃材の利用可能性等について多くの知見が得られたようです。その後、合板加工機械を製造する工場((株)名南製作所)を訪問し、機械の設計から製造までをつぶさに見学することができました。
合板加工機械そのものはインドネシアでも多く稼働していますが、それがどのような考え方の基で製造されたか、また、木材という天然材料をいかにして工業材料に転換するかについて多くのことを学びました。
11月23日
日本の木造建築についての知見を深めるために、名古屋城や犬山城を見学しました。名古屋城内に新しく建造された本丸御殿や、400年間の風雪に耐えた犬山城天守閣に強い感動を覚えたようです。この日は天気も良く、リラックスした雰囲気で学外見学を楽しみました。
11月24日
「分光学的手法に基づく果実非破壊品質評価」に関連した実験を行いました。分光手法の基礎理論を稲垣哲也講師らから学んだ後に、紙工作によって簡単な分光器を作成してもらいました。その後、実際の分光器を用いて濃度推定のための検量線作成やリンゴの糖度推定を行い、光を物質に照射するだけで成分が推定できる仕組みを理解しました。
11月25日
午前には、生命農学研究科内で鈴木滋彦静岡大学副学長による「国内外における木質材料学の現状と将来」と題された講演を聴講し、日本およびインドネシア両国の木材工業の展望について幅広く学びました。その後、今回の科学技術交流活動プログラムの感想や学んだことなどについて参加学生が発表し、最後に土川覚教授が修了書を授与しました。
11月26日
一行はインドネシアに向けて帰国しました。