2017年度活動レポート(一般公募コース)第197号
ミャンマーの優秀な学生が、宮崎大学でIT分野の最先端技術に触れる
宮崎大学工学教育研究部 Thi Thi Zinさんからの報告
平成29年10月18日 ~27日の10日間にわたって、ミャンマー連邦共和国の工学系大学の学生10名と教員1名が来日し、わが国におけるIT分野の最先端技術に触れると共に工学と農業の学際領域での成果の利用について学びました。
また、名古屋で開催されたIEEE 6th Global Conference on Consumer Electronics(GCCE2017)に参加するなど学業にわたる交流を行うとともに、日本文化を体験し、宮崎大学の紹介および将来の学生交流への期待を込めた体験型の研修も実施しました。
研修生の所属する大学は下記の通りです。
・Yangon Technological University(引率教員)1
・University of Computer Studies, Yangon (UCSY)1
・University of Computer Studies, Mandalay (UCSM)1
・Computer University (Mandalay)3
・University of Technology (YCC)2
・Technological University (Kyaukse)1
・Computer University (Taunggyi)1
・Mandalay Region Computer Professionals Association1
初日
前日ヤンゴン空港を深夜直行便で出発した一行はおよそ7時間のフライトの後に、10月18日の早朝6時50分頃に成田空港に着き、その足で鎌倉へ行き、日本の文化を体験し、その後、日本科学未来館に移動して、同館を2時間程見学しました。
その後、羽田まで移動、そして羽田から空路、午後20時25頃に宮崎空港に到着しました。ヤンゴン出国から宮崎到着まで延々20時間程度の長旅でしたが、鎌倉見学などもあってか、とても元気な状態で宮崎に到着することができました。
2日目
午前中に本学 池ノ上学長と横田工学部長に対して表敬訪問を行いました。学長表敬訪問では、女性活躍・人財育成担当の伊達理事と国際連携センター長の伊丹副学長も参加していただき、自己紹介、歓談を行い、ビルマの竪琴のオブジェクトなど記念品の交換を行ました。そして、工学部長表敬訪問では、同様に自己紹介と歓談そして、宮崎大学オリジナルのマドラーをもらい、とても嬉しそうでした。
その後は、本学国際教育センターに移動し、日本語の授業を受けました。授業では、日本後での日常会話や自己紹介などを行いました。初めは、日本語の発音に戸惑いながらも楽しみながら学習を行っていました。
午後からは、本学に移動し、日本文化体験として着物を着ました。参加した研修生達は、着付けの指導を受けながら慣れない手つきで着付けを行っていました。ミャンマーでも卒業式など華やかな衣装を着て出席するため、着物の華やかな色合いが大変好評で、とても幸せそうに着付けを行っていました。同様に男性陣も着物を着用して、普段以上に凛々しい雰囲気となっていました。
3日目
午前中に元大阪市立大学教授の濱裕光先生をお招きし、ICTを活用した牛のモニタリングシステムについて講義を行っていただきました。参加者は、ほとんどが工学系大学から来ているため大変興味を示しながら講義を聞いていました。
午後からは、研究室のメンバーによる各5分程度の研究紹介を行いました。研究紹介では、画像処理技術を用いて行われている応用研究などに対して大変興味深そうに聞いており、質問が多数出て、研究室側によってもより良い時間となりました。その後、研究室のメンバーと一緒に学生実験を行いました。学生実験では、LEDを用いたランタン回路の作成を行いました。工業系の学生が多いため、何人かは半田ごてなどを使ったことがありましたが、コンピュータ系の大学から来た学生は、使ったことがないなど各々スキルは異なっていましたが、研修生は勿論、研究室の学生も楽しそうに学生実験を行っていました。
研究紹介と学生実験での作業風景
4・5日目
青島の伝統文化の視察を行い、神社のしきたりなどを学ぶことで日本の伝統文化に触れることができました。また、4日目は、台風接近に伴い、予定していた鵜峠神宮などの文化視察は中止となってしまいました。そして、5日目にパダウシンポジウムの準備をしました。
6日目
Pyke Tin客員教授による授業とサクラパダウシンポジウム
午前に宮崎大学の客員教授であるPyke Tin教授による「ミャンマーにおける農業の実態と課題」に関する講義を受けました。Pyke Tin教授は、元ミャンマーにある大学の学長であり、参加者にとっても非常に貴重な体験となりました。
午後からは、第11回サクラパダウシンポジウムを開催し、参加者に宮崎で実施した内容を報告してもらいました。他に、国際連携センター長の伊丹教授に開会挨拶、工学部国際教育センターの村上教授による留学生プログラムやMasters Double Degree Program(DDP)の紹介をしていただきました。
また、研究室のDDPに参加した学生が留学先での経験について報告をしました。一方、元さくらサイエンスの研修生で再来日している留学生からも日本での留学の経験について、さくらサイエンスのメンバー達に情報発信をしました。最後に、横田工学部長から研修生一人一人に修了証が手渡され、研修生たちはとてもうれしそうに受け取っていました。また、本シンポジウムでは、幾人かの本学3年生等も参加し、有意義な時間となりました。
シンポジウム後には、宮崎大学の学食をお借りして、送別会を行いました。送別会には、現在DDPで宮崎大学に在学している13名のミャンマーの学生と共に歌やダンスを行いました。写真は、送別会の様子です。
送別会の様子
7日目
国際学会(IEEE GCCE2017)が名古屋で開催されるため宮崎空港発中部空港着の飛行機に乗って移動を行いました。中部空港到着後は、バスに乗って宿泊するホテルに移動しました。ホテルでは、学会の発表準備などを行ってもらいました。
8日目
午前中は、発表者は発表準備を行い、それ以外の人は学会に参加し最新の研究についての発表を聞いてもらいました。午後からは、発表を行いました。発表では、皆堂々と発表していました。発表後は、トヨタ自動車記念館を見学し、歴史的価値のある車を見ることができました。
9日目
名古屋大学を見学しました。名古屋大学では、青色LEDの発明者である天野浩氏と赤崎勇氏の「ノーベル賞記念展示室」やウィンドウディスプレイやVRなど最先端の技術を扱う研究室を見学しました。「ノーベル賞記念展示室」では、青色LEDの歴史や実際に使った製造装置のレプリカがありました。研究室見学では、ウィンドウディスプレイやVRを実際に触れることができ、非常に楽しそうでした。
名古屋大学での集合写真
10日目
最終日には、朝4時にホテルを出て、成田空港へ向かいました。そして、午後の飛行機に乗って皆さん、無事に10日間の研修を終え、成田空港から元気に出国しました。
今回のプランは、10日間という短期間の交流活動コースで、すぐに時間が経ってしまいましたが、鎌倉や名古屋学会の参加など非常に濃い内容となりました。終了後の研修生からのアンケートに関しても好評で、宮崎大学の学生たちも、「英語はあまり得意ではなかったが実際に英語を使ってコミュニケーションできて楽しかった」などと回答があり、双方においてとても良い刺激となったと思います。
最後に、本プログラム実施に当たり、申請から最終報告書に至るまで様々なアドバイスや協力をいただいた皆様、さくらサイエンスプログラムに深く感謝します。