2017年度活動レポート(一般公募コース)第179号
アジアの若者が、佐渡島で里山の維持管理を学ぶ
新潟大学からの報告
2017年10月22日から31日までの10日間、中国雲南省にある中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園より中国人学生をはじめ、ラオス、タイ、フィリピンから総勢10名の学生を迎えて研修を行いました。
初日は、茨城県つくば市にある森林総合研究所を見学しました。岡部貴美子先生の研究室に伺い、森林における物質循環や生態系サービス、生物多様性に関する研究について学びました。午後は 国立環境研究所見を訪問し、生物・生態系環境研究分野の研究室を訪れ、五箇公一研究員より、侵入種の駆除や農薬の生態系サービス与える影響について学びました。
2日目は東京農工大学・FM唐沢山(演習林)を訪問し、列状間伐試験地、法面緑化試験地などを見学。日本の森林・緑地管理手法について学んだ後、新潟に移動しました。
3日目からは佐渡島に移動し、温帯林の自然の見学や、佐渡島の山や農地の維持管理システムについて学ぶ実習を行いました。佐渡初日は、佐渡市トキの森公園見学後、台風の影響の残る里地での実習を佐渡最終日に変更し、佐渡島金北山においてブナやミズナラを中心とする冷温帯の林を見学しました。さらに佐渡金山見学後、夜は佐渡ステーションにおいて佐渡の自然や伝統文化に関する映像を観賞しました。
翌日は沿岸に成立した自然草原(大野亀および二ツ亀自然遊歩道)を見学し、海岸植生の保全について考察しました。午後は林間放牧を中心とした半自然草地であるドンデン山に移動し、牛を利用した循環型農業と半自然草地の維持管理についての歴史を学びました。
佐渡3日目は、終日、新潟大学演習林において、日本における代表的な植生(常緑広葉樹林、落葉広葉樹林、常緑針葉樹林、人工林)を見学しました。夜は佐渡の自然環境に関する講義を行い、日中見学した内容を体系立てて学ぶことが出来ました。亜熱帯や熱帯の森林しか馴染みのない学生にとって、とても新鮮であり、かつ自然がよく保全されていることに感心した様子でした。
佐渡最終日は、新潟大学臨海実験所見学後、新潟大学朱鷺・自然再生学研究センターおよびトキの森公園において、朱鷺の保護増殖事業や朱鷺が生活できる自然再生を通じた持続可能な農業への取組について学びました。午後は、森里海の多様性や関係性を学ぶための実習(水生生物の観察など)を行いました。
佐渡での実習を終え、日本科学未来館や明治神宮鎮守の森を見学後、無事帰国をしました。入国時、出国前と2つの台風接近があり、無事開催できるのかとひやひやした場面もありましたが、全日程を無事終了することができ、幸いでした。