2017年度活動レポート(一般公募コース)第172号
北京交通大学の学生が、交通と都市の連携について学ぶ
横浜国立大学からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2017年10月15日から10月23日までの9日間、中華人民共和国の北京交通大学の交通工学分野から、大学生5名、大学院生3名、教員1名を招へいし、交流を行いました。
北京交通大学は、鉄道工学にかかる研究教育機関を母体とした総合大学で、交通計画および交通工学分野では中国でトップレベルの大学のひとつです。2015年7月に北京交通大学副学長が横浜国立大学に訪問したことから交流がはじまり、横浜国立大学で都市交通計画を専門とする中村文彦教授が北京交通大学で特別講義を行ったほか、横浜国立大学学生が短期留学プログラムで北京交通大学を訪問し、中国新幹線シミュレーターの見学などを行うなど交流を深めてきました。2017年1月には、横浜国立大学と大学間学術交流協定覚書を締結しました。
本交流プログラムは、覚書締結後初めての交流活動として、北京交通大学の学生に、横浜国立大学での交通分野の教育やフィールドトリップを通して、交通と都市の連携について学んでいただくことを目的に実施しました。
交通分野の教育体験
本交流プログラムでは、横浜国立大学大学院都市イノベーション学府・研究院の交通と都市研究室(Transportation and Urban Engineering Laboratory : TUEL)の教員による交通分野の特別講義を行いました。都市交通計画(中村文彦教授)、交通工学(有吉亮特任教員(准教授))、都市街路デザイン(三浦詩乃助教)の3つの講義を英語で受講いただき、講義内容を題材に、北京の交通事情、日本(特に首都圏)の交通事情についての意見交換を行いました。
また、TUEL所属学生による、研究内容の紹介をベースとした学生交流の場を設けました。実践的な取組みを重視する本学交通と都市研究分野のアプローチ方法を直接的に学んでいただき、これまでにない学問の捉え方、都市の捉え方を学ぶ、有意義な機会になったのではないかと思います。
さらに、横浜国立大学のキャンパス内で、TUELが仕掛けた実証実験プロジェクトである、国大西バス停待合空間打ち水効果特殊舗装、踏む力を電力に変換する土木工学棟通用口通路発電床階段、バス車両と歩道のギャップを解消する道路構造令規格外特殊縁石を導入した国大北バス停、スマートフォンによる解錠施錠システムをベースにした学内無料自転車共同利用システム、などの紹介を行いました。
フィールドトリップ
天候には恵まれませんでしたが、みなとみらいから関内、山下公園、元町にかけての地区で見学することのできる横浜市のアーバンデザイン実践の成果の街歩きと、日本が誇る大規模ニュータウンプロジェクトである多摩ニュータウンでのさまざまな都市計画および交通計画の実践事例の街歩きを行いました。多摩ニュータウンでは、さまざまな工夫のある歩行者空間や、東京都内の四ッ谷駅前から移設して保存している見附橋を見学しました。
今回の交流プログラムを通して、日本での交通分野の実践例や学びに高い関心を持っていただいたものと思います。これを機会に、さまざまなかたちでの北京交通大学と横浜国立大学での交流が活性化していくことが望まれます。
このような貴重な機会をいただけたことに、さくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。