2017年度活動レポート(一般公募コース)第162号
モンゴルの大学生が、水美し国・日本で環境研究にふれる
金沢大学からの報告
2017年11月10日~19日、国立モンゴル大学より6名が、さくらサイエンスプログラムにて金沢大学を訪問しました。モンゴルの内陸部では乾燥化・砂漠化が懸念されているとともに、鉱物資源の野天堀などによる水の汚染などが問題となっており、金沢大学とモンゴル国立大学は、地球環境学分野で共同研究を実施しています。
今回の参加者は、これから共同研究の担い手になってくれるかもしれない大学院生や学部生の混成チームでした。
金沢大学では地球環境学の研究体験を実施し、野外観測サイトでの実習から実験室での機器分析まで、幅広く取り組みました。また金沢市企業局のゴミ処理施設、排水処理施設、浄水場の見学、琵琶湖博物館や琵琶湖疎水を訪問し、多くの方にご協力いただき無事プログラムを実施することができました。
大陸内部のモンゴルと海に囲まれた島国の日本では、食文化をはじめ、いろいろな生活様式の違いがあります。研究経験に加え、何気ない一瞬を日本がどんなところか学ぶ場として、興味津々で楽しんでくれました。
寒いのに日本海の荒波に近づき、砂まみれ・海水まみれになって戻ってきた男子学生。海水の採集実習のときに、この水(海水)は本当にしょっぱいのかと不思議そうに聞く女子学生。やはり海に夢中になったようです。
能登半島では「能登丼」と銘打って海鮮丼や能登牛のどんぶりを提供していますが、昼食に能登丼のひとつ「香箱がに丼」にトライしたときのこと。最初メニューの写真を見て何とも言えない(いやそうな)表情を浮かべていた学生たちですが、中にはおいしそうに平らげて、かにの殻を大事にもって帰ってくれた人もいました。
金沢市のゴミ処理場の見学に行った際には、担当の人がモンゴルのゴミ処理の現状と金沢での現状を、国の特徴と照らし合わせて説明してくれました。
国土が狭い日本ではゴミの減量・再利用に力を注いでいますが、国土が広く人口密度の低いモンゴルではゴミ処理は埋め立てのみであるという説明に、みなさん、納得の表情を浮かべていました。とはいえ、埋め立てが効率的に行われておらず、美しい大地にゴミが散乱している状況を、モンゴルでよく見ます。学生たちの今後の取り組みに期待します。
日本では湖やダム湖の環境動態の研究が各湖で実施され、多くの湖で博物館施設が設置されて地域の人の学習の場になっています。モンゴルにも湖が多く分布していますが、そのような施設を備え研究が進んでいる湖はほとんどなく、有名なフブスグル湖でさえ、自前の研究施設の発展はまだ途上だという現状があります。
今回参加してくれた学生が、地域にとっての環境学習の重要性を感じ取ってくれ、研究者・教育者としてさらに自分の研究を進めてくれる事を祈るとともに、このような機会を得る事を可能にしてくれたさくらサイエンスプログラムに、心より感謝したいと思います。