2017年度活動レポート(一般公募コース)第150号
タイの高校生と共に、エネルギー利用のための科学技術を学び、考える
静岡北高等学校からの報告
平成10月18日水~10月27日(金)の10日間、タイ・プリンセス・チュラポーン科学高等学校の生徒10名・教員1名および本校普通科1学年生徒21名・2学年生徒27名を招へいし、研修プログラムを実施しました。
<目的>
①環境負荷の低いエネルギー利用の技術開発を中心に、タイの生徒に日本のエネルギー利用技術の最前線を垣間見る機会を与えること。
②エネルギー利用を切り口として、日本の高校生とともに双方の発展のための望ましいイノベーションのあり方を議論することを通して、両国の高校生の交流を深めること。
<概要>
平成28年度に本プランに採択された交流プログラムにおいて、「科学技術」は、日本では研究開発やイノベーションを意味するが、タイでは組立産業を指すなど、両国における根本的な違いを発見しました。
平成29年度の交流プログラムでは、この「科学技術」の違いを日本、タイの生徒が更に認識し、双方の発展のためにどのようなイノベーションが可能なのかを考えていくことを目的とし、日本のエネルギー利用の現状と実装について、実習や議論を通して体感的な理解を図り、議論力の育成を図りました。
また、タイで行われている太陽光発電などとの比較も、事前学習・最終発表会などを課して取り入れ、違いから課題に対する突破口を創出するような、深い議論を促進することを目指しました。
<効果>
本交流プログラムでは、エネルギー利用の実際と課題解決法を科学的議論から見つけることを目的として、日本、タイの生徒が協同で、学んだことや既知の事項、資料のデータを総動員して議論をし、まとめて発表するという一つの流れを完結させました。
生徒たちは、正解・不正解のない課題の解決において、知識の習得を超えて、複数の要因や条件を効果的にデザインして解決策を創造することができました。
これを実現したのが、大学教員によるエネルギー効率の講義やSTEMワークショップからの知識や考え方であり、校内の交流授業における議論力の育成でした。
プログラムの目的、ワークシート、エネルギー利用に関する社会統計的データをまとめた冊子を配布したうえで最終日までに達成すべき事項を示し、ゴールを意識しながら学ぶ環境を作ったこと、議論において教員はファシリテーターに徹し、各グループの議論を促進し、最後まで自分たちだけで完成させるよう支援したことも、生徒の達成感を大きくした要因であると考えています。
また、生徒の滞在中は、本校の生徒として授業に参加した他、ホームステイや地域の伝統工芸施設でのワークショップを通した日本文化体験、本校生徒とのレクリエーションなど幅広く交流の場を担保しました。
この経験は、本校の生徒とプログラム終了後も続く友情を培う強力なきっかけとなったのはもちろんのこと、タイ生徒に日本のエネルギー利用の現状について実感を伴って理解する助けとなり、非常に面白いアイデアの発表へとつながっていきました。