2017年度 活動レポート 第142号:日本原子力研究開発機構

2017年度活動レポート(一般公募コース)第142号

アジアの若手研究者・技術者が、日本の原子力技術を学ぶ

日本原子力研究開発機構からの報告

日本原子力研究開発機構(JAEA) 大洗研究開発センター 照射試験炉センターでは、さくらサイエンスプログラムにより、アジア地域の6ヶ国(カザフスタン、マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ、モンゴル)から計10名の若手研究者・技術者を招へいし、2017年7月23日~8月1日の日程で、JMTR(Japan Materials Testing Reactor *JAEAが運営する材料試験炉)、およびびその関連施設を活用した実践型の実務研修を実施しました。

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講義の様子
写真2
実習の様子

照射試験炉センターでは、将来における国際的な原子力人材を育成するため、国内の若手研究者・技術者を対象とする研修を2010 年度に開始し、また、アジア諸国をはじめとした海外の原子力人材育成およびJMTR の照射利用拡大を目的として、海外の若手研究者・技術者を対象とする研修を2011 年度に開始しました。2014 年度から2016 年度は、これらの2つの研修を統合して実施してきました。

本研修のプログラムは、参加者の理解がより深まるよう、概要説明や基礎的な内容の講義を行った上で実習や関連施設の見学を行うよう構成しています。講義では、発電炉の設計や安全性評価の基礎となる原子炉用燃料および材料の照射試験を主要テーマとしており、原子力エネルギー、照射試験、原子炉の核特性、原子炉施設の安全管理等に関する講義を行うとともに、原子炉シミュレータを用いた運転等の実習を行っています。各講義及び実習の内容と施設見学先は以下のとおりです。

【講義】

・日本原子力研究開発機構の紹介

・世界の研究用原子炉、発電用原子炉

・研究用原子炉の利用

・炉物理の基礎

・原子炉用燃料及び材料の中性子照射挙動

・JMTRの安全管理

・JMTRの照射設備と照射試験技術

・JMTRホットラボの照射後試験技術

・高温ガス炉の開発と核熱利用研究

・高速炉の開発

【実習】

・照射設備の熱設計実習

・核計算実習

・個人線量測定実習

・環境試料のγ線核種分析実習

・原子炉シミュレータ運転実習

【施設見学】

・JMTR

・HTTR

・「常陽」

・環境監視施設

・放射線管理施設

・J-PARC

・JRR-3

・日本原子力発電(株)東海第二発電所


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施設見学の様子

研修初日には、参加者による業務や出身国についてのプレゼンテーションを行いました。参加者がお互いの背景を知ったことにより、コミュニケーションが円滑になり、研修期間中は活発な情報交換が行われました。

また、研修期間中には参加者と職員の懇親会を開催し、交流を深めることができました。研修が今後の人材交流や共同研究に繋がることを期待しています。

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修了証を手にセンター長と記念撮影