2017年度 活動レポート 第135号:新潟大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第135号

中国の大学生が、計算数学分野の最先端研究を学ぶ

新潟大学からの報告

さくらサイエンスプログラムにより、 7月27日から8月3日までの10日間、 中国の4つの大学・研究所(中国科学技術大学、中国科学院・数学とシステム科学院、蘇州大学、華東師範大学)から学生と引率教員の計15名を新潟大学で受け入れました。

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新潟大学理学部にて

今回のプログラムは「計算数学分野における最先端研究の交流」というテーマで、 新潟大学理学部の劉研究室で行っている有限要素法の研究紹介や、日本の応用数理の分野における、研究者により実施される集中講義と講演会などの多様な研修活動と通して、精度保証つき数値計算という計算数学分野の先端研究を来日の学生に紹介しました。

<スケジュール>

7月27日 新潟空港到着
7月28日 オリエンテーション、懇親会
7月28・29日 有限要素法の入門
7月30・31日 微分作用素の固有値の高精度な評価方法のセミナー
8月1日 高安先生、畔上先生による講義
8月2日 中尾先生、小林先生、菊池先生による講義
長岡まつり花火大会へ参加
8月3日 修了式
新幹線で宇奈月温泉へ移動
8月3日 黒部トロッコ電車見学とYKKセンターパーク見学
新幹線で宇奈月温泉から東京へ移動し、東京スカイツリー見学
8月5日 成田空港から帰宅

<有限要素法に対しての理解を深める>

劉先生が有限要素法の授業を行いました。 有限要素法の共同セミナーでは、学生たち自らも発表を行い、 劉先生からアドバイスをもらいながら積極的な議論を展開し、 有限要素法に対しての理解を深めていました。

写真2
有限要素法の講義

<集中講義と講演>

精度保証付き数値計算に関する数学の理論と計算の方法を中心にして、集中講義や講演を行いました。

・筑波大学 高安先生「精度保証付き数値計算」

・名古屋大学 畔上先生「形状の最適化計算」

・早稲田大学・九州大学 中尾先生

・一橋大学 小林先生

・東京大学 菊地先生

写真3
菊地先生による数値計算の講演

精度保証付き数値計算は、計算機援用証明において重要な道具となります。 しかし、 中国では精度保証付き数値計算に従事している研究者は少ないという現状があるようです。

今回の一連の講義やセミナーを通して中国の学生たちに精度保証付き数値計算を知ってもらうことで、 将来的には中国から多くの研究者が日本に来て日本の研究者との共同研究を行い、 そのことは今後の新しい研究成果に繋がると信じています。

<日本の文化体験>

新潟大学付近の浜辺でバーベキュー大会も行いました。 学生たちは、 スイカ割りや日本海に沈む夕日などを楽しみました。また、日本三大花火で知られる長岡大花火大会に参加しました。 招へい学生は、通りに並ぶ露店での買い物や大会終了後の長い待機列に並ぶなど、日本の花火大会特有の経験ができたと思われます。

<日本のものづくり体験>

新潟から富山県の黒部に移動し、黒部渓谷のトロッコ列車を乗車後、黒部の市街地へ向かい、YKKセンターパークを見学しました。YKKの創業歴史やファスナーや建材などの生産技術の見学を通して、世界トップクラスのものづくり技術を体験しました。

写真4
YKKセンターパックへの見学

今回のプログラムによって、 計算数学分野における学生の研究交流が行われました。 これを機会に、 中国の学生たちに日本への関心を持ってもらい、将来的には是非、 日本、 特に新潟大学での研究活動に発展することを期待したいものです。

最後にこの場を借りて、本事業にご助力頂きましたさくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に感謝申し上げます。