2017年度活動レポート(一般公募コース)第134号
アジアの高校教員のための最先端工学・科学探検プログラム
九州大学工学部からの報告
九州大学工学部では、2017年8月22日から29日までの8日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、「高校教員のための「九州大学最先端工学・科学探検プログラム」(英語名:QUEST Program for Teachers)」を実施しました。
本プログラムの実施にあたり、急速な経済成長、都市化、工業化が進行するアジア7ヶ国・地域(中国、台湾、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア)の高校の若手教員を招待し、「グリーンテクノロジー」、「STEM教育とアクティブラーニング」、「人と自然が共生する都市」の3つのキーワードで教育交流を行いました。
<グリーンテクノロジー>
第二次世界大戦後、日本は世界に例のない高度度経済成長期を遂げ、それに伴う急速な工業化が、深刻な環境汚染と公害被害をもたらしました。その経験を教訓に、科学技術に立脚した低炭素社会の実現に向けての様々な取組を行いにより克服し現在に至ります。
参加者は、23日、25日と28日の3日間に渡り、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の小江誠司教授、超電導システム科学研究センターの木須隆暢教授、水素エネルギー国際研究センターの白鳥祐介准教授、他5人の教員による「グリーンテクノロジー」に関する最先端科学技術の講義を受け、関連する最先端研究施設を見学しました。
<STEM教育とアクティブラーニング>
25日の午後には、5人の高校教員によるそれぞれの高校での特徴あるSTEM教育のミニコンファレンスが行われ、アジアの高校の教師が集う情報交換の場となりました。また、28日には、九州大学の工学部の国際コースで教鞭を執るJ. カノン准教授(機械工学部門)、A. ロバートソン准教授(応用化学部門)がそれぞれの担当科目においてアクティブラーニング、プロジェクトベースラーニングの試みについて紹介され、アジアの高校教育での導入についての活発な議論が行われました。
<人と自然が共生する都市>
24日には、福岡市近隣の北九州市を訪れ、次世代エネルギーパークでは、風力発電、太陽光発電の施設を見学し、北九州環境ミュージアムでは、過去に公害問題を克服した同市の歴史を学びました。さらに、26日、27日には豊かな自然環境を保っている太宰府市、柳川市、糸島市を訪れ、日本人の古来からの自然観に触れる機会となりました。
短期間でしたが、本プログラムを通して様々な角度から、日本の高等教育の持続可能社会を拓く研究教育を、アジアの高校の先生方に知っていただくことができました。是非このプログラムで学んだことを、自国の次の世代の科学者の育成に活かしていただければと期待しています。