2017年度 活動レポート 第128号:東北大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第128号

中国・浙江大学との環境技術に関する学術交流

東北大学からの報告

さくらサイエンスプログラムの支援のもと、2017年7月31日から8月9日にかけて東北大学大学院工学研究科に浙江大学の大学院生・学部生7名と教員1名を招へいし、「嫌気性微生物を用いた未来エネルギー創出型低コスト都市廃棄物循環技術」をテーマとした共同研究プログラムを実施しました。

本プログラムでは土木工学専攻環境保全工学研究室の教員により「バイオエネルギー技術」、「環境微生物解析技術」、「ローカーボン型排水処理技術」についての特別講義を行い、環境微生物技術を応用した省エネ型排水・廃棄物処理およびバイオエネルギー生産技術に関する最先端の研究の動向に対する理解を深めてもらいました。

また環境保全工学研究室で行っている幅広い研究テーマに関する実験装置を見学するとともに、実際に稼働中の嫌気性膜分離法による排水・廃棄物の処理やアナモックス法による排水中の窒素除去などの省エネ創エネ型排水・廃棄物処理装置の運転管理や実験試料の水質分析を行い、最先端の研究内容を自身の手で体験してもらいました。

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環境保全工学研究室での実験の様子

また実験室での作業を通じて実験室施設の安全な利用方法や安全管理体制を体験してもらいました。

一方で合同セミナーを開催することで両大学間の学術交流を行い、環境やエネルギー問題に関する視野を広げることができただけでなく、日本と中国の学生・若手研究者間の交流を促進させることができました。

本プログラムでは関連した現場見学により日本の優れた低コスト型環境技術および東北大学での最先端の研究内容の理解を深めてもらいました。

仙台市にあるジェイネックスバイオプラントの見学では、メタン発酵技術を応用して食品残さなどの有機性廃棄物を電気・ガス・堆肥等にリサイクルし、場内から廃棄物を出さないゼロエミッションのリサイクルループの実践について学びました。資源の有効利用を目指した循環型社会の形成に重要な役割を果たしている施設であり、環境と社会に配慮した理念は非常に勉強になったと皆さんが感想に述べていました。

写真2
ジェイネックスバイオプラントの企業見学

また仙台市南蒲生浄化センターの訪問では、東日本大震災による被災状況および2016年4月に完成した水処理施設を見学し、災害に強く環境にも配慮した未来志向型の下水処理場について学びました。奥松島の見学も含めて津波の被害に深く印象を受けていたようでした。

写真3
仙台市南蒲生浄化センターの見学
写真4
奥松島の津波被災地の見学

招へい期間中に東京で開催されていた日本下水道協会主催の下水道展の見学を行い、日本の下水道関連企業や団体の最新の技術開発による成果にも触れました。開催期間中に5万人以上の来場者のある下水道分野で最大の展示会であり、下水汚泥のエネルギー資源化技術や省エネ型の排水処理に関する実際の装置を見ることができ有意義な機会となりました。

写真5
下水道展の見学

最終日には、東北大学において交流成果発表会を開催し、交流期間の体験と感想をまとめるとともに「さくらサイエンスプログラム修了証」授与式を行いました。

写真6
さくらサイエンスプログラム修了証授与式

東北大学の最先端の省エネ・創エネ型嫌気性生物技術について学術交流を行い、また特色ある現場見学による日本の優れた都市廃棄物循環技術の理解を通じて、学生間および研究団体間の交流が促進されたと思います。

また浙江大学の学生は学術研究に高い関心を持っているだけでなく、日本の生活や社会文化についても興味を持ち、皆さんが再来日の希望を口にしていました。このような貴重な機会を提供して頂きましたさくらサイエンスプログラムならびに関係者の皆様に感謝致します。