2017年度活動レポート(一般公募コース)第126号
スリランカの大学生が、刺激応答性材料について学ぶ
神奈川大学からの報告
2017年8月24日から31日の8日間、スリランカのルフナ大学から大学生10名と引率教員1名の計11名を招へいしました。
本事業では、本学が採択された「文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」による研究をもとに策定した交流計画である「刺激応答性材料に関する科学技術交流」を実施しました。
<8月24日>
入国後、湘南ひらつかキャンパスへ到着しました。キャンパス内の国際交流宿舎に宿泊し、学生食堂も利用しました。
<8月25日>
私立大学戦略的研究基盤形成支援事業の紹介があり、理学部化学科の山口和夫教授による光分解性表面修飾剤の講義と実験を行いました。(山口教授講評)
機器分析による光反応の定量(高速液体クロマトグラフィとNMR)およびハンコ製作を行いました。UV光で硬化する薄膜上に、透明なフィルムに黒い線で描かれた図形をのせて光照射し、未感光部位を洗い流し、図形が転写されたことを体感しました。質問も多く、実験に積極的に取り組んでいました。
<8月26日>
理学部化学科の木原伸浩教授による酸化分解性ポリマーの講義と実験を行いました。(木原教授講評)
まず本研究の意義と理論を講義してから実験を行ないました。酸化分解性ポリマーを合成してから、酸化分解し、分解生成物のカルボン酸を得ました。この核磁気共鳴スペクトルを測定し、混合物の組成と収率を決定しました。実験も測定もスリランカでは行なうことができない精度とレベルのもので、この機会に積極的に取り組んでいました。
<8月28日>
理学部化学科の鈴木健太郎特任准教授による高温超電導材料の講義と実験を行いました。(鈴木特任准教授講評)
オンネス以降、最近の鉄系超伝導体発見までに見られる、いくつかのブレイクスルーにおける物質科学の役割を中心とした講義と、酸化物超伝導体を用いた、ピン止め効果、導電性の温度依存性、および粉末X線回折法による格子定数の決定に関する実験を行いました。本学の学生らの協力を受けながら、楽しそうに実験に取り組む姿が印象的でした。
講義と実験については、参加者アンケートからも、「NMRを使用できてよかった」等のコメントが寄せられました。
期間中には、参加者によるプレゼンテーションがあり、ルフナ大学の紹介やプログラムへの謝辞が披露されました。
また、27日は神奈川県県立生命の星・地球博物館および城下町小田原を、29日は新江の島水族館および歴史の街鎌倉を、30日は、三菱みなとみらい技術館および現代都市横浜を見学しました。
各日をとおして、我が国における科学技術と博物館の役割を学び、日本の歴史や文化について知識を得ました。8月31日に参加者全員がプログラムを修了し、帰国の途につきました。
本プログラムの実施によって、本学は、スリランカの学習研究環境の情報を収集し、研究者や留学生の受け入れにおける留意点等の知見を深めました。今後も国際的な科学技術交流を継続していくことが期待されます。