2017年度活動レポート(一般公募コース)第117号
台湾の大学院生が、食の安全を守る農免疫について学ぶ
東北大学からの報告
2017年9月10日から9月17日までの8日間、台湾の台北医科大学の大学院生10名と引率教員1名をさくらサイエンスプログラムにより招へいしました。
今回の招へいの目的は、東北大学大学院農学研究科・食と農免疫国際教育研究センター(CFAI)の取り組みについて、紹介することでありました。農薬や抗生物質を使用した農産物、畜産物、水産物の生産によって起こる、食と健康のリスクが社会問題となって久しく、この問題を解決する取り組みが急がれております。
本学ではこれまでに、薬に頼らない農畜水産物の健全育成についての研究が多くの研究室で行われてきましたが、さらに研究を発展させるために、個々の研究を統合した新しい研究領域を設立し、「農免疫」と名付けました。この農免疫を活用して得られた食品に関する研究と併せて、2015年4月にCFAIを設立しました。
本プログラムでは、まず、東北大学の歴史、教育理念、研究理念について説明を行い、仙台市内に分かれている各キャンパスを巡回、見学しました。次に、北澤准教授(CFAI副センター長・畜産免疫ユニット)からCFAIの概略と、本学の食の安全に関するこれまでの取り組みについて紹介されました。
続いて、原田准教授(CFAI副センター長・健康影響評価ユニット)による、「食品の新健康リスク評価法」を、受講しました。
また、宮城県女川町にある、女川フィールドセンター(附属複合生態フィールド教育研究センター・複合水域生産システム部)を訪問し、木島教授、池田准教授より、東日本大震災の時の様子、津波対策、女川フィールドセンターでの海洋生物研究と震災復興への取り組みについて、解説があった後、研究室と研究施設を見学しました。
栄養学分野では、食の安全や機能性食品開発についての研究内容が大学院生から紹介されました。また、台北医科大学からの招へい学生からも、現在、取り組んでいる食に関する研究について紹介があり、ディスカッションを行いました。
機能分子解析学分野では、大学院生による研究内容の紹介、その後、質量分析機を使用した最新の食品分析法について、模擬実験を行いました。水産資源化学分野の中野助教から水産食品の安全性に関する研究の紹介が行われました。
最後に、閉講式とともに、CFAI教員、日本人学生・院生と共に夕食会を開催して、お互いの交流を深めました。プログラム実施後のアンケートでは、留学を含めて再来日を希望する院生が多数おり、参加学生にとって有意義であったことがうかがわれました。
本プログラムを実施するにあたり、ご協力頂きました、本学の教員、事務職員の皆様、ならびに本学の学生・大学院生に感謝いたします。また、本招へいをご支援いただきましたさくらサイエンスプログラムに深く御礼申し上げます。