2017年度 活動レポート 第116号:横浜国立大学工学研究院

2017年度活動レポート(一般公募コース)第116号

日本の優れた研究の取り組みを伝え将来の協力関係を構築する日中交流

横浜国立大学工学研究院からの報告

平成29年10月11日~20日に、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、本学の姉妹提携校であり、中国の国家重点大学である天津大学の機械工程学院に所属する大学院生10名と副教授1名を招へいしました。

本プログラムは、日本の優れた研究の取り組みを伝えるとともに、今後の日中間の交流を促進することにより将来の日中関係の良好な発展を図ることを目的としています。

10日間の滞在期間中、天津大学の一行は本学大学院工学研究院長の渡邊正義教授を表敬訪問し、横浜国立大学の説明を受けました。

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工学研究院長表敬訪問の様子

また、本学の教員ならびに大学院生と共に、産業技術総合研究所(茨木県つくば市)、日産自動車(株)の総合研究所(神奈川県厚木市)を訪問し、最先端の研究と研究施設を見学しました。

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産業技術総合研究所(つくば市)の施設見学

また、本学の最新の実験機器を利用して、リチウムイオン電池の冷却性能向上や固体高分子形燃料電池(PEFC)の性能向上に関する基礎的な実験を体験しました。

産業技術総合研究所 (AIST)では、省エネルギー研究部門を訪問し、研究所が取り組んでいる固体酸化物型燃料電池(SPFC)、 固体高分子型燃料電池(PEFC)、 次世代自動車用エンジン、プラズマアクチュエータ、冷凍技術等の最新の基礎的研究から応用研究、革新的な技術等について説明を受け、これらの研究施設を見学しました。

日産自動車総合研究所(NRC)では、技術者の方から最新の電動化技術等についてご紹介を頂き、電気自動車に使用する最新のモーターに関する実験室を見学させて頂きました。

写真3
日産自動車株式会社 総合研究所(厚木市)の訪問

近年中国では、大気汚染が大きな問題となっているため、産総研の省エネルギーに関する研究や日産自動車の電動化技術に、天津大の学生は大変興味を持ったようで、多くの質問をしていました。また、AISTとNRCの研究者、技術者の方々には、学生からの質問に対して、丁寧な回答をして頂き、見学会は大変好評でした。

本学では、荒木准教授と諸隈助教により、リチウムイオン電池 (LIB)等の新エネルギーの動向に関する講義と、固体高分子形燃料電池(PEFC)の性能向上方法に関する講義を受け、実験の具体的な実施方法の検討を行いました。

その後、研究室の大学院生と共に、X線CT装置を使用した発電時における燃料電池内部の液水分布の可視化実験や、リチウムイオン電池の冷却性能向上にかかわる基礎研究である沸騰現象において沸騰時に発生する気泡底部に形成される薄液膜をレーザー干渉法により測定する実験を体験しました。

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X線CT装置による発電時における燃料電池内部の液水分布の可視化実験の様子
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沸騰時に発生する気泡底部の液膜厚さ測定実験の様子

実験終了後、得られた結果をまとめ、成果報告会を実施し、その後修了式を行って、プログラムを終了しました。

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成果報告会の様子

今回のプログラムでは、日本の優れた研究の取り組みや技術を紹介することができた他、日中間の学生の交流を促進することができ、目的を十分達成することが出来ました。

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さくらサイエンスプログラム修了書授与後の記念撮影