2017年度活動レポート(一般公募コース)第61号
生体内タンパク質の立体構造とその予測について学ぶ
横浜市立大学大学院生命医科学研究科からの報告
本学生命医科学研究科は2017年9月3日から9日までの7日間、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、光州科学技術院(韓国)から学生8名と教員1名を招待しました。
今回のプログラムでは、本学教員による講義と実習、隣接する理化学研究所や隣接している横浜バイオ医薬品研究開発センターの施設見学を中心に行われました。
<X線結晶構造解析 講義・実習>
X線結晶構造解析に関する講義と実習は、プログラム2日目に行われました。午前中に本学教員による結晶学・X線結晶構造解析の講義が行われ、午後にX線発生装置等の機器を見学しながらの実習が行われました。受け入れ学生には学部生も含まれており、講義は高度な内容であったと思われますが時間いっぱいまで質疑応答が行われるなど、有意義な時間を過ごせたようです。
<NMR 講義・実習>
NMR(Nuclear Magnetic Resonance/核磁気共鳴)に関する講義・実習はプログラム3日目の午前に行われました。本学は日本最大級である900MHzのNMR装置(原子核を磁場の中に入れて核スピンの共鳴現象を観測することで、物質の分子構造を原子レベルで解析するための装置)をはじめとする、NMR装置を複数台所有しています。まずは講義によりNMRへの知識を深め、その後実際に装置を使った実習を行いました。
<情報生物学 講義・実習>
プログラム3日目の午後はコンピューターを使った講義と実習を行いました。併せて本学の所有するスーパーコンピューターCray XT4の見学も行いました。
実習では、スーパーコンピューターを利用して各自でMD(molecular dynamics/分子動力学) Simulationを行いました。コンピューターによるシミュレーションを行ったことがない学生が大半であり、操作に戸惑う場面もありましたが、アシスタントとして参加していた日本人学生の補助を受けながら、全員が無事課題を終えることができました。
<施設見学>
本研究科は、理化学研究所横浜キャンパスと同じキャンパスで研究活動を行っています。今回のプログラムに際して、市大客員教授でもある理研の研究者の案内で施設見学を行いました。
また、隣接する形で立地している横浜バイオ医薬品研究開発センターへの見学も行いました。横浜バイオ医薬品研究開発センターは(公財)木原記念横浜生命科学振興財団により設置された施設で、主にバイオ医薬品の製造支援を行っています。普段の実験室スケールでは見ることのできない大型培養・精製装置を見学することができました。
<日本文化体験>
日本の文化や科学技術に触れることを目的として、江戸東京博物館や日本科学未来館を見学しました。江戸東京博物館は両国に立地しているということもあり、併せて国技館や土俵の見学も行いました。
最後に交流を目的として、日韓の学生と教職員とで懇親会を催しました。研究の話にはじまり、その他の話題でも大いに盛り上がりました。
日本・韓国双方の学生にとって、有益な交流を行うことができました。韓国の学生には「また日本に来たい」という感想を持った学生も多数おり、大変充実した交流プログラムになったと思われます。日本から参加した学生からも「またこういう機会があれば是非参加したい」という声が上がっていました。
末筆ながら、今回のプログラムを実行するにあたりご協力いただいた関係者の皆様、ならびにご支援いただいたさくらサイエンスプログラムに、心からお礼申し上げます。