2017年度活動レポート(一般公募コース)第52号 (Aコース)
Kyoto Institute of Technology Electronics Summer School & Plasma Nanotechnology Seminar 2017
京都工芸繊維大学電気電子工学系
准教授 高橋和生さんからの報告
京都工芸繊維大学(KIT)において、平成29年6月19日より30日までの間、電子工学サマースクール&プラズマナノテクノロジーセミナーを開催しました。
アル−ファラビ・カザフ国立大学(KNU、カザフスタン)より、さくらサイエンスプログラムの支援を受けた学生6名を含む9名が来日した他、オルレアン大学ポリテク・オルレアン(フランス)より7名、ユストゥス・リービッヒ大学ギーセン(ドイツ)より2名、KITより17名の学生がこのプログラムに参加し、KNU学生と2週間を共にしました。
電子工学サマースクールでは、3~4ヶ国のメンバーからなるチームを編成し、9つのチームはそれぞれに、"Make something"をテーマに電子回路とコンピュータ、プログラミングを駆使して、国際色豊かなアイデアに富む様々な電子機器システムを作り上げました。
カザフスタンでは、他国同様ナノテクノロジーが注目されており、研究所が政府によってKNUに設置されています。プラズマナノテクノロジーセミナーは、KNUからの要望に応じて企画されたもので、フランスよりLaifa Boufendi教授を招き、プラズマの基礎と応用技術に関する講義を実施しました。
特に、水素吸蔵を目的としたプラズマによる炭素材料の作製プロセスに対して質問が集中し、エネルギー政策を念頭においた質問で、新材料およびそのプラズマプロセスへの関心の高さがうかがわれました。講義の後、実験実習を行い、原子層エッチングプロセスの開発を背景に進められているプラズマ源を見学しました。
また、物質創成のみならず宇宙物理にも関連する微粒子プラズマの実験に参加し、プラズマにおけるナノ材料創製のイメージを膨らませることができました。
カザフスタンは原油の採掘だけでなく、多様な農作物を産出する豊かな大地を擁することでも知られています。学生達は、プラズマが農業にも応用できる可能性に目を光らせ、プラズマを種子に照射することにより、発芽や生長が促進されることに大いに興味を喚起されたようでした。
2週間を通じて、学生それぞれの母国語であるカザフ語(ロシア語)、フランス語、ドイツ語、日本語を織り交ぜながら、英語を主体としたコミュニケーションにより、国際理解が促進される過程は参加学生全員に貴重な体験をもたらしました。
KNUでは、すでに本プログラムに対するレビューが行われており、本プログラムは、学生の興味を満たす高い満足度が得られるものとして、また将来日本との人材交流を進めるためのよいきっかけになるものとして、非常に高い評価を得ています。