2017年度 活動レポート 第51号:西大和学園高等学校

2017年度活動レポート(一般公募コース)第51号

インドの高校生と西大和学園高校生との科学を通した国際交流

西大和学園高等学校からの報告

本校はスーパーサイエンスハイスクール(以下SSH)に指定された平成14年より現在に至るまで、「次代を担う高い理想と豊かな人間性、広い国際性を持つリーダーの育成」をめざし、生徒ひとりひとりが「より広い世界、より高度で先進的な知識、より多様な考えに直接触れ、体験し、自ら課題を設定し課題を設定し解決に向けて探究する」取り組みを教育活動に取り入れてきました。

さらに平成26年にスーパーグローバルハイスクール(以下SGH)の指定も合わせていただき、「地球規模の課題に挑戦できるグローバルビジネスリーダーに育成」に向けて、サイエンスとグローバルを本校教育活動の中軸に据えて、先進的で独創的な教育法と教材の研究開発を継続して取り組んでいます。

一方、インドDAV校は、モラル教育(道徳教育)にも力を置く学校で、最高水準のラボラトリー施設を備え、学生は実験をとおして科学的に考える力を養う教育を実践しています。科学発表会にも多数の生徒が参加し、大会でも多くの受賞経歴があります。

本校は、インドDAV校と2年にわたってインドでの交流活動を重ねてきました。さらに両校の友好関係を深化させ、推進するために平成29年8月5日(土)から8月12日(土)までの8日間、DAV校を日本に招へいし、共同研究を軸とした交流活動を行いました。

<1日目・2日目>

本校生徒の家庭にホームステイをしました。これまでイギリス人やアメリカ人を受け入れる経験はあっても、インド人を受け入れるのは初めての家庭ばかりでした。日本家庭にはDAV校生の宗教による信条や生活習慣からの食事の違いが一番の心配ごとでしたが、いざホームステイが始まると、礼儀正しく、マナーの良いDAV校生たちは各家庭で大切にもてなされ、すっかり溶け込み、日本の家庭的な生活を通して文化交流を楽しんでいました。

写真1
本校生徒宅でのホームステイの一コマ

<3日目~5日目>

奈良先端科学技術大学院大学(以下NAIST)の研究室においてサイエンス研修を体験しました。

写真2
NAISTにて本校生徒とサイエンス研修
写真3
NAISTにて講義を受講する場面
写真4
NAISTにて実験研修をする場面

写真5
NAISTにて実験結果の解析と考察をする場面

NAISTは、本校のSSH事業立ち上げのころから長きにわたって連携協定を結んでいます。設備、人材面での環境が整備されており、最先端の研究テーマおよび研究水準の高さは国内外に定評があり、スーパーグローバル大学(グローバル化牽引型)にも採択されています。

DAV校の生徒たちは本校生徒とともに、事前に希望していた研究室に分かれて様々な研修プログラムを受けました。情報科学研究科の大規模システム管理研究室に4人、バイオサイエンス研究科の植物細胞機能研究室および植物免疫学研究室および細胞シグナル研究室にそれぞれ2人ずつ配属されました。

いずれの研究室でも、高度で専門的な講義を受け、自ら設定した課題に対し、本格的な設備を用いて実験やデータ解析を行い、考察を繰り返すことにより結論を導く課題解決型学習を行いました。

恵まれた環境での研修プログラムは、DAV校招へい生にとって大変興奮し、強く感激した3日間でした。帰国後も研究を継続するため、今回指導していただいている先生からメールによるデータ提供を希望するほど、専門分野の論文に強く関心を持った生徒もいました。

<6日目>

本校生徒との交流の日です。本校では、SGH履修生徒が外国人についての知見を養うために、日本および奈良の強みをインバウンドの外国人に旅を通して伝える研究をしています。DAV招へい生たちは、本校SGH履修生がプロデュースした大阪および奈良観光交流の1日を過ごしました。

写真6
東大寺見学後南大門下で記念撮影

午前中は大阪グランフロントのナレッヂキャピタルを見学し、午後は元興寺およびならまち界隈の散策をしました。ナレッヂキャピタルでは、企業の展示を本校生徒がエスコートして見学しました。ならまちおよび東大寺、元興寺の散策では、本校生徒がDAV校生に観光名所の説明を英語で解説し、時折、お土産屋の店主さんなどのような地元の人との通訳もして両校の生徒の関係は大変親密になりました。

写真7
ナレッヂキャピタルの見学風景

<7日目>

午前中に大阪市立科学館、午後に京都大学総合博物館を見学しました。大阪市立科学館では展示の説明がすべて日本語で英語の解説がなかったために、本校生徒が解説を読み、英語でDAV校生たちに説明をしていました。京都大学総合博物館では、英語で書かれた解説を両校の生徒がともに読み、熱心に見学していました。どちらの施設も工夫が行き届いた展示技術の質の高さ、資料収集と保存についての技術の高さに感心していました。

写真8
京都大学総合博物館見学時の記念撮影風景
写真9
大阪市立科学館見学時の記念撮影風景

<8日目>

修了式と振り返りのためのエッセイ執筆の後、帰国の途につきました。DAV招へい生たちの修了証とさくらサイエンスバッヂ、本校からのオリジナルスクールグッズのプレゼントを手にした時の、達成感による満足げな表情がとても印象的でした。

写真10
修了式での記念撮影風景

以下に今回招へいした10人のDAV生のうちの1人のエッセイを掲載します。

Japan is a wonderful country which is excellent in the field of science and technology. By this science exchange program, I got to learn and experience new things in the NAIST University. With the help and guidance of our professors Mr. Cho and Mr. Pete we were able to make the given projects successful. I will never forget the fruitful knowledge that I got in the NAIST with help of the professors. The people of Japan are the nicest. I liked their humble character and thankful nature the most. They inspired me a lot in many different ways. The Mizuno family, the family which accepted me for the homestay taught me a lot about the Japanese tradition, and they made me try their different traditional foods. They took me to the Kinkakuji Temple, and we also visited one of the local festivals, I liked it a lot. I am really thankful for them to accept me to have a homestay and teaching me all the wonderful things in Japan. I agree that there was a communication gap but it did not hinder the formation of bonding between us. I am really thankful to the organization, Nishiyamato Gakuen High School for guiding us each and every. It was a memorable experience.

今回の交流事業において、2年間交流を温めてきた両校の絆がますます深まったばかりでなく、本校のSSHとSGHの両方の履修生がともに力を合わせ、大変貴重な体験をすることができました。

さくらサイエンスの実施に当たり、ご協力をいただきましたNAISTの先生方には深く感謝申し上げます。また、ご指導とご支援をいただいたさくらサイエンスプログラムに、改めて感謝申し上げます。