2017年度活動レポート(一般公募コース)第37号
未来の農業を担う韓国大学生の最先端生命科学との交流
京都産業大学生命科学研究科総合生命科学部からの報告
<はじめに> さくらサイエンスプログラムの支援を受け、江原国立大学(韓国)動物生命科学部、動物生物工学専攻の4回生4名、大学院生5名、研究員1名と教員1名(Seunghyung Lee, イ スンヒョン 教授)が来学し、7月26日から8月3日までの10日間、研究活動を行いました。
生命科学研究科(総合生命科学部)では、生命科学分野における高度な専門知識と技術を屈指した研究活動を行い、国内外より、研究レベルが非常に高いとの評価を受けています。 *(2015年にはネイチャーサイエンス論文掲載数が国内私立大学ランキング第1位になったこともその証拠となっています)。
本プログラムでは生命科学に関わる4つのコースを設定しました。そのいずれの内容も国際的に高く評価されているテーマを設定しており、特にアジア諸国では実施が困難な、高度な設備を用いた実験が含まれています。
江原国立大学・動物生命科学大学(学部)は、農学系学部では韓国一広大な敷地を持ち、卒業生は、韓国だけでなくアジアの未来の農業を担うと嘱望されています。
本プログラムでは、韓国側の畜産、飼料や動物性食品等に関する教育や応用研究に、国内外から高く評価されている本学の生命科学系の基礎研究を融合し、農業を生命科学に近づけることで、「我々が食する食品」と「影響を受ける生命」を共に理解出来る学生(未来の研究者)を育てることを目指しています。
それゆえ、本プログラム終了後は、大学院生としての留学、研究交流による再来日を計画しています。
<プログラム> 学生たちは、4つの研究プログラムのコースA〜D に分かれて、最新の技術研究を若手研究者(研究助教、ポスドク、客員研究員、や大学院生と共に体験しました。
★プログラムA. 生細胞内カルシウム動態の観察 (細胞内のカルシウム動態をFRET依存的な蛍光カルシウムセンサーYellow Cameleonで観察)
★プログラムB. アフリカツメガエル卵のプログラム細胞死(アポトーシス)とCRISPR/Cas9を用いたゼブラフィッシュ初期胚のゲノム編集 (アポトーシスを起こす細胞を蛍光で検出)
★プログラムC. 回転分子モーターの1分子観察とギブソン・アセンブリー改変法 (ATP駆動性モーターV1の回転を顕微鏡下で観察)
★プログラムD. マウスの胚操作とIn situハイブリダイゼーション組織化学法 (マウス着床前胚の胚発生を観察)
<成果報告会・修了式> プログラムの最終日のポスターセッションでは、ポスターを通じて互いの研究成果について議論しました。次いで行なった座談会では、今回のプログラムが、双方にとって充実した貴重な経験であったことをお互い確認し、さらなる交流に期待の声があがりました。
プログラムの終了後には、寺地徹学部長より学生一人一人に修了証が授与されました。