2017年度 活動レポート 第26号:北陸先端科学技術大学院大学

2017年度活動レポート(一般公募コース)第26号

バイオサイエンス分野における日印学術交流

北陸先端科学技術大学院大学からの報告

2017年7月21日から7月30日までの10日間にわたって、インドのアンドラプラデーシュ州のサティヤサイ大学(SSSIHL; Sri Sathya Sai Institute of Higher Learning)のバイオサイエンス研究科から、9名の大学院生と1名の博士研究員を招へいし、研修を行いました。

写真1
講義を受ける訪問メンバーの様子

北陸先端科学技術大学院大学とサティヤサイ大学は本年に学術交流協定を締結していたことから、先方の大学においても北陸先端大への関心が高まっており、多くの成績優秀な学生が来学を希望しプログラムが実現しました。

幸い北陸先端大には、複数のサティヤサイ大学卒業生が博士後期課程の大学院生として在籍しており、彼らの協力は訪問メンバーにとって心強く、快適な滞在につながったようでした。

来日学生・研究員たちは、それぞれ松見研究室、高木研究室、金子研究室、筒井研究室、水谷研究室、山口(拓)研究室、大木研究室において、様々な装置の使用方法を学んだり研究活動に従事しました。

実習の一環として、訪問メンバー全員が生体分子のNMR(核磁気共鳴)による構造解析に関する山口(拓)准教授の講義を受講しました。さらに本学のナノテクノロジーセンターの800MHz NMRや各種電子顕微鏡、その他の共通利用装置を見学しました。インドでは見かけることが殆どない高スペックな装置が多く見られ、訪問メンバーから一様に驚きの声が聞かれました。

写真2
ナノテクノロジーセンター見学の様子

<松見研究室>
バイオ燃料電池について研究を行っている2名の訪問学生がインピーダンス測定、サイクリックボルタンメトリー(電極電位を直線的に掃引し、応答電流を測定する手法)をはじめとする、様々な電気化学の基礎技術を習得しました。

<高木研究室>
リポゾーム(細胞を構成する有機物のうち,細胞膜や生体膜の構成成分であるリン脂質を使って水中で作ることのできるカプセルの作製方法)や、様々な環境的ストレス存在下でのそれらの挙動の解析手法について学びました。

<山口(拓)研究室>
多糖の様々なキャラクタリゼーションの手法についてディスカッションが行われたほか、グルカンのコンフォメーションに関するMDシミュレーションなども実施しました。

<金子研究室>
生体由来材料を用いてポリアミドやヒドロゲルを合成し、それらをNMR(核磁気共鳴)、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)、DSC(示差走査熱量測定)、SEM(走査型電子顕微鏡)等によりキャラクタライズすることを学びました。

<水谷研究室>
SHGスペクトルによる構造的異方性を有する材料の構造解析の実際を学ぶことができました。

<大木研究室>
一次元および二次元NMRのほか他の多くの特殊なNMR測定法に関しても学ぶことができました。

<筒井研究室>
神経細胞の電気的な挙動に関して、蛍光顕微鏡やその他の技術により解析する手法を学びました。

写真3
Arnandさんの実験風景
写真4
Ashwathさんの実験風景

写真5
Girishさんの実験風景
写真6
Jayantさんの実験風景

写真7
Nareshさんの研究室での様子
写真8
Skandaさんの実験風景

写真9
Sujithさんの実験風景
写真10
Saikrishnaさんの実験風景

写真11
Vishwanathanさんの実験風景

また、本学の浅野哲夫学長が学長室において訪問メンバーたちと懇談し、本学の留学生の現状や、日印の文化的相違、さらなる交流のあり方等について意見交換が行われました。

研修活動を振り返って、訪問メンバーたちの満足度は非常に高く、各研究室での教員との研究内容に関するディスカッションは有益であったようでした。また、帰国後には多くの先方の教員や在校生に学んだ事を伝えたいと話していました。

写真12
学長と記念撮影する訪問メンバー

今後とも、将来的な申請を含めて有益な交流がさらに継続することを双方共に望んでいます。