2017年度 活動レポート 第15号:神戸大学大学院農学研究科

2017年度活動レポート(一般公募コース)第15号

タイの土壌より単離した耐熱性微生物とその酵素系の特性解析

神戸大学大学院農学研究科からの報告

神戸大学大学院農学研究科では、さくらサイエンスプログラムの支援により、タイ・チェンマイ大学・アグロインダストリー学部に所属する学部学生6名、修士学生2名、引率教員2名を招へいし、「科学技術研修コース(2017年7月23日から8月1日)」を実施しました。

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オープニングセレモニー後の集合写真

チェンマイ大学は創立1964年で、20以上の学部からなる総合大学であり、タイ国においても高い教育力と研究力を有しています。また、同学部は1992年に農学部フードサイエンステクノロジー学科が独立した形で創立され、現在では学部学生約1,300名および修士学生約80名が学んでいます。

神戸大学農学研究科とチェンマイ大アグロインダストリー学部は2016年2月に学部間交流協定を締結し、その一環として2016年度より同研修コースを実施することにし、今年度もさくらサイエンスプログラムの支援による科学技術研修を行いました。

招へい学生の選抜基準は、①成績、②英語力、③同学部教員と実施主担当者(竹中 慎治、WEB会議形式での参加)による口頭試問にて、適正と意欲および微生物分野に関する基礎知識の点から、優秀な学生を8名選抜しました。

研修内容

「微生物酵素の精製と特性解析」と「16S rRNA遺伝子解析による細菌の同定」の2項目について2グループに分かれて研修を行いました。実施主担当者および酵素学に造詣が深いタイ人引率者(Dr. Chaiyaso氏)にて実験内容の説明・操作方法のデモンストレーション後、タイ人学生が実際に操作やデータ収集を行う形で進めました。その過程で、日本人修士学生(2名)には、英語コミュニケーション能力の向上も兼ね、適宜、サポート役を担当してもらいました。

「微生物酵素の精製と特性解析」では、微生物菌体外酵素(プロテアーゼ)を題材とし、培養液上清を陰イオン交換クロマトグラフィー後、酵素活性測定とタンパク質定量を行い、つづいて、電気泳動による精製度合の確認とN末端アミノ酸配列を目的としたPVDF膜への転写、さらには天然タンパク質の分解について取り組みました。

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タンパク質電気泳動の実験(左からKhatthongngarm君、Khunyotyingさん、Kerdwanさん)
写真3
酵素活性・タンパク質量定量実験(左からNuttapong君、Kerdwanさん)
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酵素活性測定実験(左からLuewjaroensirichaiさん、Khunyotyingさん、Khatthongngarm君)

一方、「16S rRNA遺伝子解析による細菌の同定」では、乳酸菌を題材とし、コロニーアイソレーション、ゲノムDNAの抽出、16S rRNA遺伝子断片の増幅と精製、同遺伝子のクローニング、大腸菌形質転換株からのプラスミド抽出、同断片のシークエンスについて取り組みました(遺伝子組換え実験の関係で説明とデモンストレーションのみのステップを含む)。

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遺伝子実験操作 PCR増幅断片の確認(中央Lhongsakさん)

両グループとも一連の操作を終了後、精製酵素のN末端アミノ酸配列と16S rRNA遺伝子塩基配列を解析する機器を含む、学内共通分析機器類の見学を行い、BLAST検索と解析法についても講習を行いました。また、本学研究基盤センターアイソトープ部門のご協力で共焦点顕微鏡・電子顕微鏡・高分解能質量分析計・次世代シーケンサー等の見学も行いました。

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高分解能質量分析計の原理説明(研究基盤センターアイソトープ部門・宮本昌明先生と引率教員Dr. Chaiyaso氏)

神戸大学農学研究科は、清酒の醸造で有名な灘五郷が近くにあることから、実施主担当者による清酒醸造の講習を行うとともに本醸造酒・純米酒・吟醸酒の3種について利き酒にも挑戦してもらいました。さらに、到着日を含む日曜日を利用し、神戸および関西の施設見学を行い、地理や歴史についても学んでもらいました。

写真9
東大寺および奈良公園の見学での1コマ
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姫路城の見学での1コマ

研修修了後は、引率者を含む9名が土佐幸雄副研究科長を表敬訪問し、アグロインダストリー学部の紹介に続きタイ人学生代表(Nuttapong君とMethit君)による本研修コースの成果についてプレゼンテーションの場を設け、理解度や達成度について確認を行い、最後に土佐副研究科長からの修了書の授与で本研修コースを無事に終了することができました。

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修了書授与後の集合写真
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土佐副研究科長および実施主担当者を交えた成果発表会 発表者はMethit君とKhatthongngarm君