2017年度 活動レポート 第11号:熊本県水俣市

2017年度活動レポート(一般公募コース)第11号

水俣の教訓を理解し、地域社会の将来の持続可能性を探求する

水俣環境アカデミアからの報告

水俣市では、2017年7月4日から7月13日までの10日間、タイ王国(カセサート大学)、台湾(国立台北科技大学)、シンガポール共和国(南洋理工大学、シンガポール社会科学大学)から10人の大学院生および3名の大学教授等を招へいし、水俣病の実情と教訓を正しく理解するとともに、環境問題や地域の再生・活性化に取り組む活動を学ぶフィールドワークを行いました。

さらに、水俣環境アカデミアと連携している大学教授および研究者等により、海洋生態学、再生可能なクリーンエネルギー学、環境工学等、最先端の科学技術について学ぶとともに、日本における環境行政についても学びました。

研修の最後の2日間は、九州大学において、水俣の地域再生に向けた持続可能性をGDPに代わる新たな経済的指標である「新国富」により評価する等、各国へ帰ってからも活かせる技術を学びました。

研修2日目:7月5日(水)

まず、アカデミアにおいて開講式を行いました。
その後、国立水俣病総合研究センターにおいて、「水俣病の内容、原因等学習」に関する講義、「毛髪水銀濃度の測定」、「水銀分析技術研修」が行われました。夕方には、水俣環境アカデミアで歓迎会を行いました。

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開講式後の西田水俣市長、古賀アカデミア所長との記念撮影

研修3日目:7月6日(木)

水俣湾を埋め立てたエコパーク水俣周辺の水俣病情報センター、熊本県環境センター、水俣病資料館を見学しました。その後、アカデミアにおいて、熊本県環境センター館長による「クリーナープロダクション」、水俣市職員による「水俣市環境行政」の講義を聴講しました。夕方には、地域住民による「ごみ分別作業」を見学しました。

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水俣病資料館を見学
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地域住民による「ごみ分別作業」を見学

研修4~5日目:7月7日(金)~8日(土)

JNC(株)およびエコタウン(田中商店)のガラスビンリサイクル工場を、それぞれ見学しました。その後、国立水俣病総合研究センター室長により水俣湾を中心とした海洋生態学について現地調査及び講習が行われました。夜は、水俣市内の各家庭へのホームスティを行ない生活文化に触れました。

翌日には、水俣環境アカデミアにおいてホストファミリーおよび地元水俣高校生を交えたランチミーティングを行い、英語で交流を深めることができました。サプライズとして、水俣高校の弓道部と剣道部からの実演もありました。実際に剣道を体験した研修生などもいて、ホームスティに引き続き、日本の文化に触れる体験もできました。午後から愛林館へ移動し、棚田のしくみの他、林業について等、愛林館の取り組みについての研修が行われました。

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棚田のしくみについて学ぶ
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ランチミーティングの様子

研修6日目:7月9日(日)

はぐれ雲工房において、紙漉き体験を実施しました。その後、水俣環境アカデミアにおいて、熊本大学鳥居教授による「再生可能なクリーンエネルギー学」について、東洋大学柏田教授による「応用生物科学」について、それぞれ聴講しました。夕方には、熊本県立大学堤教授により、翌日の「魚の養殖技術研修」について、事前学習が行われました。

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はぐれ雲工房において、紙漉き体験

研修7日目:7月10日(月)

鹿児島県出水郡長島町において、魚の養殖技術研修を行いました。ブリ加工場、漁船での養殖現場、缶詰工場などを見学し、熊本県立大学堤教授による「海洋生態学」に関する講義を受けながら見学することができました。

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漁船に乗船して養殖現場を見学

研修8日目:7月11日(火)

市長表敬の後、九州大学に移動しました。九州大学島岡教授による「環境工学」の講義および慶應義塾大学小林教授による「日本における環境行政」に関する講義を受講しました。

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九州大学にて

研修最終日:7月12日(水)

引き続き九州大学において、九州大学馬奈木主幹教授による「新国富による地域環境持続可能性学」の講義が行われました。その後、各研修生によるグループ発表が行われ、10日間にわたる様々な研修内容の振り返りを行いました。

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グループ発表の様子

閉講式においては、各研修生に対し、アカデミアの古賀所長より修了証が授与されました。