2016年度 活動レポート 第411号:日中協会

2016年度活動レポート(一般公募コース)第411号

環境保全型農業に関する体験活動

日中協会からの報告

(一社)日中協会は、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、平成29年2月26日~3月4日に北京市土壌肥料ワークステーションと北京市大興区農業技術推広ステーションから総計8名の研究者を招へいしました。

農業は本来、自然環境の持つエネルギーや物質の循環機能を活用する産業ですが、中国では化学肥料・農薬の多用により、作物を育てる土壌自体が持つエネルギーの低下、さらには河川や地下水への環境汚染が問題となっています。

北京市土壌肥料ワークステーションをはじめとする一行8名の研究員は、土壌健全化、堆肥利用、土壌分析、天然腐植入り肥料加工などについて、日本の関係機関・研究者等と交流する目的で、訪問先・日程を検討・調整しました。

こうした交流をきっかけとして両国の環境保全型農業が健全に発展していくことを期待しています。

体験活動の内容

1日目の午後に東京羽田国際空港に到着した一行は、当協会によるオリエンテーションに出席しました。オリエンテーションでは参加者各位の自己紹介を行ない、翌日から開始予定の訪問・交流の前に、メンバー同士がうちとけることができました。

2日目の午前、東京都産業労働局農業振興事務所を訪問し、課長代理の吉田滋実さんから、東京都内の農業概況および各区の農業の特色について説明を受けました。この説明で、東京都の農業の概況は理解できました。

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東京都産業労働局農業振興事務所での集合写真

その後、農業振興事務所の担当者の案内により、東京都農林水産振興財団を訪問しました。同財団の環境課長南晴文さんから、東京都の耕地の状況やその保護対策を紹介され、両者で土壌の質の向上について意見交換を行いました。同財団が自ら堆肥を作る有機堆肥池を見学して、勉強になりました。

写真2
東京都農林水産振興財団が自らつくる有機堆肥池を見学

午後は、つくば研究学園都市にある農研機構中央農業研究センターを訪問し、谷脇浩子さんから、同研究センターの概況を紹介していただきました。

写真3
農研機構中央農業研究センターの講演風景

さらに、土壌肥料研究領域の上級研究員金澤健二さんから、環境保全型農業の研究概況および土壌診断法について説明を受け、交流しました。この交流を通じて、中国の環境保全型農業の発展方向が明らかになり、土壌診断法についても新しい理解がありました。

3日目の午前、東京都有機農業堆肥センターを訪問し、上中和也さんから堆肥センターの概況を紹介していただき、双方で有機堆肥の細部にわたる技術的な意見交換を行った後にセンターの堆肥原料を見学しました。

写真4
東京都有機農業堆肥センターでの集合写真

午後は農林水産省を訪問し、生産局農業環境対策課の吉田大作さんと阿部修子さんから、日本における有機農業の推進状況を紹介いただき、中国側の趙永志さんから、北京市における無公害農業の発展状況についてお伺いするなど、交流を深めました。

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農林水産省での交流

4日目と5日目は皆さんの宿泊先で、揃って今回訪問時の交流経験について互いに分担して提供いただいた資料の整理をしました。

6日目の午後、(株)ジャットを訪問しました。この会社は中国の山東省で先進的な農業技術を実施しており、その状況について説明を受けました。

写真6
株式会社ジャットでの集合写真

短い期間にも関わらず、充実した交流を実施することができました。このような貴重な機会を与えていただいたさくらサイエンスプログラムに感謝すると共に、今後も日中間の各種領域の交流事業を推進してまいります。