2016年度活動レポート(一般公募コース)第403号
アジアにおける歴史的都市の持続的発展を担う人材育成のための国際交流型環境・遺産デザイン教育研究プログラム
九州大学からの報告
九州大学の環境設計グローバル・ハブは、領域横断的、総合的、創造的な環境設計のグローバル展開をめざす、研究・教育の組織として、2017年1月に発足しました。そのeghubのキックオフイベントとして、2017年2月16日から25日までの10日間、「アジアにおける歴史的都市の持続的発展を担う人材育成のための国際交流型環境・遺産デザイン教育研究プログラム」を実施しました。
eghubのglobal memberであるアジアの5つの大学(バングラデシュ工科大学、ヤンゴン工科大学、フィリピン大学、台北科技大学、シンガポール国立大学)から若手研究者と大学院生を1名ずつ、合計10名をさくらサイエンスプログラムの支援で招へいしました。
また、別の予算で、シドニー大学、ニューサウスウェールズ大学、バングラデシュのプレミア大学、大連理工大学から教員を招へいし、日本を含め8カ国にもおよぶ参加者でこの国際交流プログラムを実施しました。
初日は、九州大学芸術工学部環境設計学科4年生の卒業設計発表会に参加し、ポスターセッションを通じて、学生の設計提案から日本の都市遺産保全の現状を学びました。卒業設計発表会の後は、本学の学生や教職員を交えたウェルカムパーティーが行われました。
2日目は、Current State and Challenges of Urban Heritage in Asiaというタイトルでシンポジウムを実施し、各国の参加者がそれぞれの国の歴史的都市の現状と課題を発表し、各国の情報を共有しました。
それを受けて、3日目以降、環境設計学科3年生の歴史環境実習に同行し、日本の都市遺産保全の現状を見学するエクスカーションに出かけました。
神戸では、竹中大工道具館を見学し保存技術の伝承について学び、また、異人館を見学し、近代建築の保存活用について学びました。京都では、知恩院の修理現場を見学して伝統建築の保存方法について学び、重要伝統的建造物群保存地区である産寧坂を見学し、町並みの保存について学びました。熊本では、震災で被害を受けた熊本城や町屋を見学し自然災害と文化財保全について学びました。
その後福岡に戻り、クロージング・セッションとして、参加者が日本で学んだ知識をもとに、それぞれの国の都市遺産保存の課題についてどのような解決策を取るのかプレゼンテーションを行い、意見交換を行いました。
クロージング・セッション後は、シンガポールで旧正月を祝う、「魚生(イューシェン)」というサラダで、参加者全員の健康とプログラムの成功を祝いました。
これはシンガポールからの参加者の提案で実施したもので、一斉に「撈起(ローヘイ)」と唱えながら箸でサラダを高く持ち上げ、皆で釣り糸をひきあげるような仕草をしつつかきまぜることが大漁につながるとのことで、プログラムの最後を飾るのにふさわしいものでした。
参加者の中から本学の大学院に進学する者も出ました。このような機会を作って頂いたさくらサイエンスプログラムに感謝申し上げます。
これをきっかけに、eghubを中心としてアジア間の教育・研究の交流をますます活発にしていきたいと思います。
(環境設計グローバル・ハブ英語名称:Environmental Design Global Hub、略称:eghub。eghubの活動については、 ウェブサイト(https://www.eghub.design.kyushu-u.ac.jp/)やfacebookページ(https://www.facebook.com/eghub.ku/)をご覧ください)