2016年度 活動レポート 第400号:静岡大学

2016年度活動レポート(一般公募コース)第400号

グリーン科学技術の国際共同研究基盤強化プログラム

静岡大学からの報告

静岡大学グリーン科学技術研究所では、複数の学問領域に跨がった学際融合学問として、グリーン科学技術分野を推進しています。

この分野の国際連携を図るため、グリーン科学技術研究所は、昨年、マレーシア工科大学と大学間協定を締結し、さらに、Research and Innovation Institute of Bioproduct Development(RIIBD)に、グリーン科学技術研究所のブランチオフィスを設置し、共同研究を推進する計画を進めています。

今回、2017年2月12日から3月4日の期間に、若手人材育成の一環としてRIIBDからの大学院生7名を、生物工学研究室(朴)、天然物有機化学研究室(河岸)、植物生理学研究室(原)、ゲノム工学研究室(富田)の各研究室に受け入れました。

静岡大学の学生と共に、3週間、実際に各研究室で実験を行い、グリーン科学技術に関する共同研究分野についての相互ディスカッションを行いました。

植物生理学研究室では、グリーン科学技術研究所の原正和教授と、植物が受ける低温ストレスによる植物の応答、およびデハイドリン(DHN)というタンパク質による凍結保護効果についてのディスカッションを行い、さらに低温感受性が高いLactate dehydrogenase (LDH)の凍結保護効果についての実験を行いました。

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植物生理学研究室でのディスカッションの様子

天然物有機化学研究室は、キノコ化学の専門家であるグリーン科学技術研究所の河岸洋和教授の研究室で、キノコから多くの新規物質を発見しています。今回は、天然物からの化合物質の抽出方法、解析及びNMRによる構造決定などの実験を行いました。

ゲノム工学研究室では、グリーン科学技術研究所の富田因則教授が、遺伝子配列に基づいた植物ストレスマネジメント技術を融合したイネの育種を進めています。今回は次世代シーケンサによる遺伝子解析についての実習を行いました。

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ゲノム工学研究室での実験

生物工学研究室では、朴龍洙教授の下で、ナノ複合体を作製してカイコに注射し、約1週間の飼育後、カイコを解剖して遺伝子産物を回収する実験を行い、遺伝子の確認、PCRによる遺伝子増幅、遺伝子とキトサンとのナノ複合体の作製およびびSDS-PAGEまで、一通りの分子生物学的実験を行いました。

また、静岡大学の大型実験施設(グリーン科学技術研究所研究支援室分子構造解析部・ゲノム機能解析部)の見学を通して、日本の最先端技術の具体的な紹介と、共同研究分野の具体的な方向性を定めることもできました。

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グリーン科学技術研究所の分子構造解析部での実習の様子

科学技術交流コンテンツのプラットフォームに登録されている浜松科学館と東海大学海洋科学博物館、さらに、地元のバイオ関連研究機関や企業として、微生物化学研究所沼津支所、マイクロファーマ(株)、サッポロビール(株)および日本食品化工(株)を訪問し、産業としてのグリーン科学技術の活用も経験することができました。

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浜松科学館見学
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微生物化学研究所を訪問

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サッポロビール株式会社を訪問
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日本食品化工株式会社を訪問

さらに、2月27日に行われた静岡大学国際シンポジウムに参加し、全員が研究成果をポスターでまとめ、熱心に発表を行い、Ms. Sitiは優秀ポスター賞を受賞しました。韓国、中国、インド、インドネシアから来られた研究者とも交流することができました。

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国際シンポジウム参加者の集合写真
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国際シンポジウムでのポスター発表の様子

共同研究期間の最後には、成果発表会を開催し、このプログラムを今後の研究にどのように発展させるかについての抱負を発表する機会も設けました。

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成果発表会と修了証の授与

今回来日した学生の中から、1名が静岡大学博士課程に進学予定です。こうしたプログラムから、さらに共同研究が発展し、両大学の交流が盛んになることを期待しています。