2016年度活動レポート(一般公募コース)第396号
ダッカ大学との刺激応答性材料に関する科学技術交流
神奈川大学からの報告
2017年2月28日から3月6日までの7日間、バングラディシュのダッカ大学から大学生2名、大学院生6名と引率教員3名の計11名を招へいしました。
本事業では、本学が取り組んでいる「文部科学省私立大学研究基盤形成支援事業」による研究をもとに策定した、交流プログラム「刺激応答性材料に関する科学技術交流」を実施しました。
2月28日に入国し、湘南ひらつかキャンパスへ到着しました。期間中は、キャンパス内の国際交流宿舎に宿泊しました。
3月1日には、私立大学研究基盤形成支援事業の紹介があり、理学部化学科の山口和夫教授による光分解性表面修飾剤の講義と実験を行いました。
山口教授の講評
光分解性表面修飾剤の実験として、感光性膜を用いたハンコ製作をしました。アクリル板にUV光で硬化する薄膜を貼り、パソコンで準備したマスク(透明なフィルムに光が透過しない黒い線で描かれた図形)をのせて光照射すると、光が透過した部分のみ硬化して、不溶になります。未感光部位を溶液中で除くと、マスク通りの図形が現れ、光による膜の物性変化を実感しました。
3月2日には、理学部化学科の木原伸浩教授による酸化分解性ポリマーの講義と実験を行いました。
木原教授の講評
まず意義と理論を講義してから、実験を行ないました。酸化分解性ポリマーを合成してから、酸化分解し、分解生成物のカルボン酸を得ました。この核磁気共鳴スペクトルを測定し、混合物の組成と収率を決定しました。実験も測定もバングラディシュでは行なうことができないレベルのもので、この機会に積極的に取り組んでいました。
3月3日には、理学部化学科の加部義夫教授による高温超電導材料の講義と実験を行いました。
加部教授講評
化学科は、学生実験で酸化物高温超伝導体の合成を長年行っています。その酸化物高温超伝導体について、午前中は加部が酸化物超伝導体が発見されるまでの歴史を講義しました。午後は、武井技術職員がマイスナー効果、臨界点の測定、XRDの実験を担当しました。参加者は講義と実験ともに積極に質問し、熱心に取り組んでいました。
3日間にわたる講義と実験では、予定時間が大幅に超過するなど、参加者の皆さんが熱心に取り組んでいる姿が見られました。特に、得られた化合物を大型機器で測定する実験は大変好評でした。
参加者アンケートからも、「講義と実験の両方を連続して受講できたことが知識の向上に有効であった」とのコメントが寄せられました。
3月4日には、神奈川県県立生命の星・地球博物館と平塚市博物館を訪れ、3月5日には、三菱みなとみらい技術館を見学しました。両日を通して、我が国における科学技術と博物館の役割などを学びました。
今回の科学技術交流によって、本学の教員および学生は、バングラディシュにおける彼らの学習研究状況を聞くことができ、今後の研究者受け入れにおける留意点等の理解が進みました。
今後も国際的な科学技術交流が活発になることが期待されます。