2016年度活動レポート(一般公募コース)第389号
国際ソーシャルイノベーション活動における日本の科学技術を活用したものづくり
金沢工業大学バイオ化学部応用化学科准教授 坂本宗明さんからの報告
平成29年3月1日から3月9日にわたり、平成28年度さくらサイエンスプログラム採択事業として、ベトナム社会主義共和国 ホーチミン市工業大学(HUTECH/VJIT)から5名、タイ王国 泰日工業大学(TNI)より5名の学生を日本に招へいし、本学学部生10名と協働したソーシャルイノベーション活動を実施しました。
本ソーシャルイノベーション活動は4段階の構成としました。
第1段階
<企業における経営品質に対する取組の理解>
HUTECH/VJIT、TNIおよび本学学部生(以下、学生チーム)は、「経営品質のための自己点検フレームワーク」の講義を受け、日本における「ものづくり」、「ことづくり」の源泉として、企業が取組を続けている「経営品質向上」に対する理解を深めました。
続いて、学生チームは著名企業の公開情報を調査し、当該企業の強み・弱み・独自性などを分析する活動を行い、問題発見・解決における手法の一つとして、経営品質フレームワークを活用する能力を得ました。
第2段階
<グローバル企業における問題発見・解決実践例の把握>
学生チームは、北陸を拠点として全世界的に事業を展開している、福井鋲螺(株)加賀工場、および(株)ソディック 加賀工場へ赴き、品質管理・行程管理などにおいて、企業が蓄積した情報を如何にして解析し、ものづくりへの活用に結びつけるかを学びました。
第3段階
<企業における問題発見・解決プロセスの実践>
加賀金沢の文化に根付いた和菓子の開発・製造・販売を行う、加賀藩御用菓子司森八の工場および実店舗において、商品の製造管理・販売など、企業活動の各過程における業務を体験し、問題を発見する活動を行いました。
続いて、経営品質フレームワークのみならず、デザインシンキングなど、複数の問題発見・解決プロセスを複合的に活用し、5つの学生チームがそれぞれ発見した問題と、その解決案について、企業および学内関係者へプレゼンテーションを行いました。
第4段階
<修得した知識・能力の統合と将来の学び・活動への展開>
第1から第3段階の活動によって、学生チームは日本企業の根底に存在する文化の把握のみならず、異なる分野・異なる文化的背景を有する学生が協働し、新たな価値を創出する経験を得ました。
活動の最終日には、これらの過程で得た知識・能力を自身の修学や将来に対していかに活用するか、また、自身の将来展望を招へい留学生と本学学生が共有する場として、「フューチャーセッション」を実施しました。
また、帰国前に日本科学未来館の見学を通じて先端技術に触れるとともに、浅草周辺を探索し、都鄙の共通点・相違点の観察を通じ、日本文化の多様性に触れる経験を得た。
招へい学生からは、日本における先端技術と伝統文化の共存が興味深い、との意見も寄せられました。
今後も、継続的に異分野・異文化協働に基づき、日本の科学技術・文化の実践的経験を通じて学ぶプログラムを提供してゆきたいと思います。