2016年度活動レポート(一般公募コース)第366号
中国シンクタンク若手研究員が日本の科学技術政策を学ぶ
筑波大学広報室からの報告
梅の花が香る2月19日、北京から筑波研究学園都市に研修チーム6名を迎えました。中国科学技術協会傘下、中国科協創新(イノベーション)戦略研究院の若手研究員5名と人事部長1名です。
同研究院は、科学技術政策のシンクタンクとして、中国における科学教育、理系人材育成、ダイバシティ、イノベーション創発促進に関わる調査研究を実施しています。
戦後日本の急速な科学技術の発展は、中国の科学技術政策の研究者も注目するところです。また、中国では科学館の建設が急ピッチで進められており、特に地方都市における科学技術の普及に力点を置いています。
その点でも、日本から吸収すべきところが多いと考えてくれているようです。そのような期待に応えるべく、迎える側も、筑波大学と周辺研究機関が抱える、多様な資源を活かした研修プログラムを組みました。
初日のオリエンテーションでは、大学会館前広場から大学ギャラリー、図書館等の施設見学からスタート。学食で昼食をとった後は、サイエンスコミュニケーションの教育研究を担当している生命環境系助教のマシュー・ウッドさんによる、科学リテラシーの国際比較に関するセミナーに参加しました。
2日目は、専門は生物資源プロセス工学ながら日中両国の科学技術政策にも詳しい、生命環境系教授の張振亜さんの科学文化に関する日中比較に関するセミナーに参加しました。
3日目は、産業総合研究所内にある地質標本館を訪ね、学芸員の芝原暁彦さんに展示を案内していただきながら、公的研究機関の研究成果公開に関わるポリシーのレクチャーを受けました。関東平野の地質構造に関するジオラマや地震発生メカニズムの説明展示、鉱物標本など、まるで科学館のような展示施設に、みなさん強い印象を受けたようです。
4日目は、国立科学博物館産業技術史資料情報センターの亀井修副センター長を同館筑波研究施設内に訪問し、国立科学博物館の歴史と使命、および産業遺産の指定保存に関するセミナーに参加しました。
中国では、理系人材のロールモデルとなる著名な科学者の業績を紹介する科学館の開設が予定されており、中国科協創新戦略研究院がその主担当であることもあって、熱心な議論が交わされました。
5日目は都内に移動し、日本科学未来館を見学し、サイエンスコミュニケーション理念に基づいて運営されている、科学館の未来の形を体験しました。
日本科学未来館にて
また6日目は、国立科学館を訪ね、先のセミナーで学んだ展示理念を確認すると同時に、自然史標本を活かした展示教育を体験しました。
短い期間でしたが、日本を初めて訪れ、多彩な講師のセミナーに参加したことで、日本に学ぶべきこと、中国の文化を活かして大切にすべきことを多く学び実感することができたとの感想を胸に、一行は26日に帰国しました。