2016年度活動レポート(一般公募コース)第363号
水分野における日本・スリランカ双方向学習プログラム
中央大学理工学部からの報告~その2
4日目(川の博物館、川下り、利根大堰)
午前は埼玉県立・川の博物館を訪問しました。博物館前にある1/1000スケールの荒川の模型を見ながら、荒川流域について理解を深めました。
午後は長瀞の川下りを体験しました。川下りを通して、上流部では非常に水がきれいな一方で、近年水量が不足して川下りがしにくくなくなっていることや、水の流れの速さなどを体感してもらいました。
その後、利根大堰まで移動し、利根川から荒川までの導水事業に関して、水資源機構の方より説明いただきました。利根大堰は、東京の水道水源である荒川の水量不足を補うために実施された、利根川からの導水事業です。
利根大堰の役割と歴史や、改修事業について説明をいただいた後、屋上から利根大堰と武蔵水路の全体を眺めました。続いて、コントロール室に移り、水量制御の仕組みについて詳細な説明を受けました。学生たちは、パネルに示された流量を見て、オンラインかつオンタイムで制御可能なシステムに感銘を受けたようでした。
5日目(前澤工業、G&U技術研究センター)
午前中は、水制御の要となるバルブについて学ぶため、埼玉県にある前澤工業の工場を訪問しました。前澤工業は、日本で唯一、バルブを材料から鋳造して製作・販売する、エンジニアリング会社です。
一番の見所は、1200度まで熱した鋳鉄を鋳型に流し込む工程であり、高度な人的作業によって、大型バルブの鋳型にまばゆい光を放つ鋳鉄がどくどくと流し込まれる様子を観察しました。
また、工場の品質管理方法やバルブの種類について、説明を受けました。バルブは、基本的に受注生産・多品種小ロット生産であるため、品質管理を非常に大事にしているとの話でした。
午後は、都市の浸水被害について学習するため、G&U技術研究センターを訪問しました。G&U技術研究センターは、マンホールや下水道管について研究を行っています。マンホールの歴史、「がたつき」や「さび」対策の最新技術、耐久試験方法などの説明を受けました。
6日目(築地市場、合同ワークショップ)
6日目は、早朝から築地市場を訪問し、日本の食文化の多様性を学習しました。漁業は日本の大事な産業であり、魚介類は日本の食卓には欠かせないものとなっています。多くの魚が取り引きされる様子を見学しながら、川は森と海をつなぐ役割があり、それによって日本近海にはたくさんの種類の魚を見ることができることを、理解してもらいました。
午後からは、ペラデニヤ大学学生と中央大学学生の合同ワークショップを実施しました。合同ワークショップでは、「SDGsの水に関するゴール6の中からいくつかの課題を選択し、その課題解決に向けて必要なことを示す」という課題を与え、グループごとに議論しました。最初は周りの様子を伺うような雰囲気でしたが、最終的にはどのチームも活発な議論がなされていました。
7日目(発表会、送別会)
最終日は、前日からの討議結果をグループごとに発表しました。Group1は、飲み水に関する課題に取り組みました。様々な技術を調べて紹介し、今後開発が必要となる技術を提案しました。
Group2は、洪水に着目し、洪水には統合的な水の管理が必要となることなど、今回の見学で学んだことを中心に紹介しました。
Group3は、水源の悪化に関する話題を取り上げ、スリランカで問題となっている地下水汚染の対応策や、技術的課題などについて紹介しました。いずれのグループも全員が発表に参加し、英語の苦手な日本人学生も一生懸命発表していました。
最後に講評をいただいた石井学部長からは、今後とも日本とスリランカの学生がお互いに協力し合って、SDGSのような世界的な課題解決に向けて努力するよう激励の言葉をいただきました。
発表会の後、学内で修了式・送別会を開催しました。修了式では、石井学部長から学生一人一人にプログラムの修了証書を手渡しました。留学生交流サークルによるゲームを交えながら両大学の学生が一緒になって楽しみ、プログラム終了後の別れを惜しみました。
送別会の最後には、学生を引率したラシタ先生より、感謝の言葉がありました。ラシタ先生はまた、中央大学の水管理に関する教育環境を高く評価し、今後、中央大学とペラデニヤ大学間で協定を締結して、交換留学を実施したいと語っていました。我々もさらなる関係強化、協定締結に向けて準備することにしました。