2016年度活動レポート(一般公募コース)第361号
日本の医療イノベーションを学ぶジョイントセッション
九州大学からの報告
九州大学大学院医学研究院次世代医療研究開発講座とARO次世代医療センターでは、医療分野においてアジア地域の優秀な人材の育成に寄与するとともに国際連携拠点構築を目的として、我が国との国際連携を志す若手研究者7名を国際公募し、2017年2月19日~26日の日程で、医療イノベーションを推進する国内のアカデミア、企業、機関とのジョイントセッションを実施しました。
招へい者には事前に、今回ジョイントセッションを実施する企業等に関するレポートを提出していただき、限られた訪問時間で有意義なディスカッションを行うための準備をしてから、来日していただきました。
プログラム初日は九州大学にて開会式を行い、招へい者による研究紹介、当プログラム参加の抱負を発表していただきました。
その後、6日間で以下においてジョイントセッションを実施しました。
- (実施順)
- ・国立大学法人 九州大学
- 1)臨床及び橋渡し研究拠点としての九州大学のミッション説明
- 2)細胞調製室(GMP準拠施設)
- 3)ドクターヘリ
- 4)アジア遠隔医療開発センター*
- 5)内視鏡外科手術室*
- ・沢井製薬株式会社 九州工場
- ・株式会社新日本科学 安全性研究所
- ・協和発酵キリン株式会社 東京リサーチパーク
- ・第一三共ヘルスケア株式会社 研究所
- ・国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)
- ・エーザイ株式会社 つくば研究所
- ・株式会社ツムラ 漢方記念館
- ・大塚製薬株式会社 徳島研究所
- ・九州大学における報告会と総合的なディスカッション、研究室見学
今回の事業では特に、医療用医薬品/医療機器の開発-製造・販売におけるドラックディスカバリーを含む基礎研究、非臨床試験、臨床研究、医療現場、さらに開発を支えるファンディングについて、現場に従事する方とのディスカッションにより理解を深めていただきました。
基礎研究に関しては、普段公開されない各製薬会社におけるR&Dシステムの紹介、開発中の医薬品/医療機器に関する研究内容の紹介をしていただき、活発なディスカッションが行われました。
さらに非臨床試験/臨床試験に関しては、求められるデータのクオリティ、試験の管理体制、動物・ヒトの倫理に関する日本での規制について学び、研究者らとディスカッションすることで、日本における医療イノベーションを支える仕組みついて議論し、理解を深めることができました。
招へい者からも、宗教上の規制、動植物の移動制限、カルタヘナ法に関する課題が提起されるなど、活発な討議が行われました。
本事業にご支援をいただいたさくらサイエンスプログラム、ジョイントセッションを共催いただいた、企業、機構の皆様、後援をいただきました日本製薬工業会に深く感謝申し上げます。
また招へい者選考では、これまでのさくらサイエンスプログラム参加者にも協力していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
本事業は、国際公募の結果、10カ国38人からご応募いただきました。多くの方に興味を持っていただき感謝いたしますとともに、今後も期待に応えるよう、また、アジアにおける医療分野の発展の助力になるよう事業を充実させていきたいと存じます。