2016年度活動レポート(一般公募コース)第355号
日本の先端的な海洋科学技術に触れる国際交流プログラム
海洋研究開発機構からの報告
海洋研究開発機構(以下、海洋機構)では、ミャンマーの研究者4名を招へいし、2017年2月26日~3月7日の日程で、研究技術交流のプログラムを実施しました。
今回のプログラム実施に先立つ2015年8月14日に、海洋機構がミャンマー科学技術省研究イノベーション局と海洋地球科学分野における協力に関する文書を締結し、ミャンマーの大学・研究機関との研究協力の取り組みを推進することを表明することが公表されました。本プログラムも、この協力活動の一つに位置づけられます。
ミャンマーは、その国土が複雑な地質構造の上にあるという背景に持ち、これまでは大規模な調査が行われてこなかったために、地球科学の分野では非常に興味深い地域であると言われています。
ミャンマーでは、2015年11月にミャンマー研究イノベーション局内国立分析ラボが設立され、災害被害の軽減を対象に含む海洋地球科学研究を目指した組織体制が確立されてきました。
今回のプログラムには、研究イノベーション局内国立分析ラボから4名の研究員が参加し、前半は高知コア研究所、後半は横須賀本部や横浜研究所で見学や講義を行いました。
プログラムの初日から4日目にかけては、高知コア研究所において、施設見学および講義を行いました。高知コア研究所は、地球深部探査船「ちきゅう」をはじめとする掘削船により海底から採取されたコア試料の保管・管理、それらを用いた先端的研究までを一貫して行う世界でもユニークな研究所であり、参加者の関心も高いものでした。
講義スケジュールの半ばに当たる5日目以降は、海洋機構の横須賀本部や横浜研究所での見学や講義を行いました。「しんかい6500」の支援母船「よこすか」やシミュレーション研究成果などの見学のほか、生物地球化学、地震研究、海洋資源研究、海洋掘削科学、掘削技術など、海洋機構の最新の研究について紹介し、議論を行いました。
プログラムの最後には各自の研究活動の経験から、この分野における今後の日本・ミャンマーの研究協力について議論を行いました。
本プログラムを通じて、実際にミャンマーの研究員の方々を日本へ招へいして「顔の見える」交流を実施しました。プログラム実施後の参加者アンケートには、「継続的な実施への期待」が記されており、また、受入機関として、今後も継続して同様のプログラムを実施する機会が得られることを希望しています。