2016年度活動レポート(一般公募コース)第347号
画像処理手法の研究活動や実験評価を学ぶ研究交流
福井大学からの報告
2017年1月15日から24日の日程で、中国(天津工業大学)、ベトナム(ダナン大学)、インドネシア(ジェンデラルスディルマン大学)の3か国から10名の学部生、大学院生、若手教員を招き、交流プログラムを実施しました。
本プログラムでは、異なる研究分野からアプローチすることにより、研究の相互交流を行うことで、単に自分の専門領域を伸ばすだけでなく、国際的視野で幅広い観点から、複合的な研究テーマを俯瞰し、現実社会の課題に対して解決策を示すことのできる学生や若手研究者を育成し、より実践的なグローバル人材養成を行うことを目的としました。
ここでは、直接プログラムに参加する学生だけでなく、学生を受け入れた研究室の学生を巻き込んだ形での研究展開、交流により、国際的な協力体制のなかで、バイオ・化学分野の研究の展開及び相互交流を行いました。
具体的には、受入に関わる研究室の教員スタッフ(5名)の有する研究・技術シーズ(ナノファイバー、バイオセンサー、耐熱性タンパク質、複合材料等、細胞工学)と、交流校の有する研究・技術シーズ(分光分析、ナノ粒子、微生物、材料工学、環境化学分析等)の技術習得と、研究発表・ディスカッションを通じた新たな課題の探索などができました。
下記にプログラムの日程を示します。
【1日目】
- 到着
【2日目】
- オリエンテーション(事務手続、生活全般)
学内見学:図書館+LDC/産学官連携本部/オープンR&D - 実習:
<医用材料>レーザー加工・エレクトロスピニングによる細胞培養基材の作製実習と細胞観察
【3日目】
- 実習:
<ナノ材料>エレクトロスピニングによるナノファイバー創成(溶融静電紡糸) - 実習:
<バイオ>微生物による抗生物質の定量
【4日目】
- 研究会準備(異分野融合ワークショップ)
- 研究紹介、大学紹介のポスター作成
- 日本の伝統産業探究(味噌蔵米五見学)
- 研究会(異分野融合ワークショップ)オーラル/ポスター発表
【5日目】
- 見学会(福井県工業技術センター)
- 実習:
<バイオテクノロジー>タンパク質の精製と分析 - 留学生との交歓会
【6日目】
- 企業見学(繊維関連企業:日華化学株式会社での化成品製造現場見学)
- 実習:
<ナノ材料>バイオセンサーの作製と評価
【7日目】
- 市内探訪(福井城、養浩館庭園)
【8日目】
- 文化交流(福井県立恐竜博物館)
【9日目】
- グループワーク(課題とりまとめ、成果報告会準備)
- 日本の伝統産業探究とバイオテクノロジーの現場(株)越の磯の酒造見学
- 成果報告会
- フェアウェルパーティ
【10日目】
- 帰国
本プログラムは、研究室での実験・実習のみならず、学外の見学会や文化交流も積極的に取り入れることで「異分野交流」を心がけました。
中でも参加者が大いに興味を持っていたのは、地元の味噌蔵の見学でした。微生物作用による発酵現象から、味噌という伝統食品がいかに作り出されるのか、新鮮な体験であったようです。
インドネシアの参加者からは、テンペという自国の発酵食品等と関連づけながらの説明もあり、また帰国後、味噌作りに挑戦したいとのことで、味噌作成キットを購入するベトナムの参加者もいて、日本の食文化を充分に理解する機会となりました。
プログラム実施期間中に、福井大学の行事として留学生交流会が開催され、飛び入り参加もしました。各国の民族衣装やダンスなどを楽しみ、福井大の留学生とも、交流や情報交換を熱心に行っていました。
異文野ワークショップでは、院生、教員は研究紹介、学部生はそれぞれの大学や国の紹介をポスターで行いました。同時に日本側の学生も研究紹介を行いましたが、それぞれの大学や国の事情、文化の紹介に加えて、やはり研究情報を交換できたことは、お互いにとって大きなプラスとなったようでした。
文化交流では、アメリカの日本庭園専門雑誌で日本庭園ランキングに3年連続ベスト3に輝いた、福井市内の養浩館庭園や勝山市の恐竜博物館を見学しました。
また、福井市歴史博物館では着物の試着に挑戦し、女性はあでやかな着物姿に、男性は侍や奴に変身しました。
このプログラムに参加した学生、スタッフは日本の充実した教育・研究環境を、実験・実習を通して身近に知る機会を得たことに大変喜んでいました。
さらに帰国後には、それぞれの大学で、このプログラムでの体験を伝えてもらうワークショップ(報告会)の開催をお願いしましたが、先日、インドネシアから、ワークショップの様子を伝えるメールが送られてきました。
当地の学生が熱心に報告を聞き入っている様子で、プログラムの魅力を十分伝えていただいた様でした。本プログラムには40名以上の福井大の学部生、大学院生が直接もしくは間接的に関わり、国際交流を実感できたことも大きな収穫でした。
最後になりましたが、このような貴重な機会を与えていただいた、さくらサイエンスプログラムに御礼申し上げます。