2016年度活動レポート(一般公募コース)第342号
都市防災における既存建物の耐震改善の学習プログラム
北九州市立大学国際環境工学部 保木和明さんの報告
さくらサイエンスプログラムの助成を受け、国立インドネシア教育大学から3名、タイ王国タマサート大学から2名、中国大連民族大学2名、西安交通大学1名、青島理工大学2名、計10名の学生と教員1名が2017年2月19日から2月28日の10日間、共同研究活動を実施しました。
我が国は地震大国として、今まで、災害の発生過程における人間活動とその社会経済環境への影響の重要性から、社会の災害脆弱性の変化過程に関しての科学的なアプローチ、事前の改善方策や災害後の復興施策に関しての総合的な防災研究等を多く行ってきました。
特に建物の地震災害に対する脆弱性を総合的に診断し、安全性、快適性を備えた、持続可能な社会を構築するための防災設計・計画、および災害マネジメント技術や方法論の構築に関する基礎研究を多く実施しています。
一方、アジアの国々でも近年では多くの地震が発生しており、その被害も測り知れないほど深刻です。例えばインアドネシアや中国大地震でも、過去に多くの建物被害を受けています
しかし未だに、大地震に対して大きな被害となることが予想される古い建物が、現在もなお多く残されているのが現実です。大震災による倒壊を防ぐため、これら建物を地震に対して、効率よく強くする方法を提案していくことが急務です。
今回の交流プログラムは、建物の耐震診断・改善に焦点を置きながら、建物の地震対策を総合的に学習してもらい、我が国の最先端の地震技術を伝え、国際貢献を図っていくことを目的として計画しました。
プログラムにおいて、まず北九州や大学における震災教育・研究と実社会との繋がりを紹介し、前半は主に建築物の耐震改修の科学技術の演習講義を行いました。
講義で扱ったテーマは、主に下記の5点です。
1.建物の耐震改修の必要性
2.建物の地震に対する安全性
3.建物の耐震診断手法
4.建築物の耐震改修の計画
5.耐震改善の事例及び模型学習
後半は現場体験、および耐震改修に関する模型実験を行いました。
熊本震災地の視察や耐震改善の事例演習を通して、震災復興や耐震改修技術を学びました。
修了式では、プログラムの責任者により、一人ひとり修了証書を渡しました。
今回のプログラムを通して、アジアの学生が熊本震災地の状況や日本の耐震技術について学び、考えを深めるきっかけになったのではないかと思います。
これからも、日本の先進技術をアジアの学生に伝えていきたいと考えています。