2016年度活動レポート(一般公募コース)第339号
日本の診断技術をはじめとする結核対策を学ぶ日蒙交流プロジェクト
千葉大学医学部附属病院感染制御部・感染症内科からの報告
千葉大学では、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、昨年に引き続きモンゴル国・国立感染症センター国家結核プロジェクト(National Tuberculosis Program: NTP)マネージャーを含む担当者6名を、2017年1月29日から2月5日までの間、日本に招へいしました。
モンゴル国では、結核が未だに大きな保健上の問題だけではなく、社会問題となっています。
WHO(世界保健機構)や、世界エイズ・結核・マラリア対策基金の支援・協力の下で2014-5年に行われた「第1回全国結核有病率調査」では、これまでの報告患者数の3倍程度、実態として存在することが明らかとなり、今後に向けて対策が強化されてきているところです。
この中で、いかに早く正確に結核症例を見つけ出すか、という検査・診断技術は重要な要素の1つです。
本交流の主な目的は、日本における診断技術をはじめとする結核対策を、モンゴル国で結核対策の中心的な役割を果たしている国立感染症センターの国家結核プロジェクト(National Tuberculosis Program: NTP)担当者に学んでもらい、今後の結核対策に活用することにあります。
1月29日に来日し、翌30日より活動をスタートしました。本学キャンパスツアー・病院内施設見学の後、参加者からはモンゴル国内における結核対策の最新情報について、日本側からは国内の結核対策の紹介と血液診断法について、それぞれ発表があり、前日の空路の疲れを見せない活発な議論とともに、今回の滞在中で学ぶことを整理しました。
31日には、千葉市内で結核病床を有する千葉東病院を訪れ、病床見学とともに、結核診断法を含む臨床について説明を受けました。モンゴル国内とは異なる部分も多く、参加者が非常に興味を持って見学をしていました。
1日は、午前中は大学病院で日本の結核対策における保健所の役割について学び、午後には実際に千葉市保健所に訪問しました。同日開催された結核審査会にも出席し、患者情報・検査結果をもとに個々の結核症例の管理を行う様子を見学しました。
翌2日は、厚生労働省健康局結核感染症課にて、結核対策への行政の立場について説明を受けました。前日に学んだ保健所の役割とともに、日本では多くの法令や行政が結核対策に関与していることが整理され、参加者はNTP担当官として刺激を受けていました。
3日には、結核の画像診断に関する講義の後に、今回の訪問の活動報告と、今後の方針が参加者より発表され、続いて修了式を行いました。
非常に密度の濃い日程で、参加者それぞれが成果を感じており、受け入れ側としてはうれしい限りでした。
上記日程とともに、31日に千葉市科学館、2日には日本科学未来館を見学しました。日本の科学技術に触れ、驚きもあり、参加者からは訪問できてよかったとの声が聞こえました。
また、忙しい日中の活動の後や休日には、受け入れている千葉大学医学部附属病院 感染制御部・感染症内科のスタッフと、食事や国内名所視察をともにして交流をはかり、日本文化・日本滞在を楽しんでいました。
無事に日程を終え、一行は5日に帰国の途につきました。このプログラムの参加者全員が、多くのことを学べたこの滞在に満足しており、大変有意義であったとの感想を述べていました。
快く参加者の訪問受け入れをして頂いた千葉東病院、千葉市保健所、厚生労働省健康局結核感染症課のおかげで、充実した内容の交流を行うことができ、深く感謝いたします。
最後に、このような貴重な機会を与えていただいたさくらサイエンスプログラムにお礼を申し上げます。