2016年度 活動レポート 第338号:埼玉大学大学院理工学研究科

2016年度活動レポート(一般公募コース)第338号

共同研究プログラム「カビ毒によって誘導される細胞死」

埼玉大学大学院理工学研究科教授 森安裕二さんからの報告

埼玉大学森安は、埼玉大学井上助教、山田(M1)さん、藤島(M1)さんを協力者として、さくらサイエンスプログラムを利用して、平成28年11月14日から12月4日までの3週間、インド カルカタ大学(Department of Botany, University of Calcutta)から博士後期課程学生Abhiさんを受け入れました。

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Abhiさん 研究室のメンバーとともに

Abhiさんの専攻は植物生物学。この交流は、森安が、Abhiさんから研究上の相談を受け、同年8月末にAbhiさんが指導を受ける、Maumitaさん(カルカタ大学Assistant Professor)の研究室を訪れたことに始まっています。

11月14日に、成田空港に到着したAbhiさんを森安が迎えに行き、同日夜に埼玉大学国際交流会館に入りました。翌日、交流会館近辺のスーパーマーケット、コンビニエンスストアへの案内などを行い、3週間の滞在の準備を行いました。

翌15日には、研究室での簡単なオリエンテーションの後、早速、井上さんが準備しておいたタバコ細胞を用いて「カビ毒によって誘導される細胞死」の研究に着手しました。

その後、3週間にわたり、Abhiさんは、タバコ培養細胞を植え継ぎながら、毎週火曜日には、カビ毒処理による細胞死の顕微鏡で観察したり、細胞から放出される過酸化水素の測定実験を繰り返しました。

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大学院生といっしょに細胞を植え継ぐAbhiさん
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顕微鏡で細胞を観察するAbhiさん

また、自分の実験の合間には、オートファジーの検出など、研究室大学院生が行っている実験を見学しました。

さらに、毎週金曜日には研究室セミナーに参加し、積極的に討論しました。そして、最終日が近くなった12月2日には、カルカタ大学でここ3ヶ月間行ってきた「カビ毒によって誘導されるタバコ細胞の細胞死」に関する実験結果に、滞在中に得られたデータを合わせて、発表しました。

実験に集中して過ごした3週間でしたが、途中、バングラデッシュからの留学生Moho(D1)さんが、ベンガル流のチキンカレーをつくってもてなしてくれました。

AbhiさんとMohoさんは、母国語が同じで、料理も共通のものが多いらしく、会話も弾みました。

滞在中には、ちょうど大学祭も行われ、その初日に季節はずれの初雪が降り、初めての雪と大学祭を、Abhiさんも楽しんだようです。

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Abhiさんが見た雪の大学祭

最後の週には、Abhiさん自身がサプライズのランチパーティーを企画してくれたり、最後のセミナー終了後にはフェアウェルパーティーを開き、大学院生と和んだ時間を過ごすことができました。

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セミナーの準備をするAbhiさん
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フェアウェルパーティーで

また、週末には、2度にわたって上野の国立科学博物館を訪れました。

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上野科学博物館内で

最後に、Abhiさんがプラン終了後に書いてくれた感想を紹介させていただきます。

I would like to express my sincere gratitude to Sakura Science (JST) and Professor Yuji Moriyasu (Saitama University) for their kind support and guidance. This is an extraordinary experience for me both academically and personally to be in Japan. This youth exchange program has been an excellent opportunity for gaining exposure into the research world outside my country. I am fortunate to get a chance to work in Prof. Moriyasu's laboratory, under his guidance. This program has been most fruitful in terms of the knowledge I gained on my field of work and beyond. It helped me expand my vision for research to explore novel avenues. I would look forward to visiting Japan in the future.

このように、「短期の共同研究活動を通して、アジア地域の優秀な青少年に日本との科学交流に関心を高めてもらう」という、さくらサイエンスプログラムの目的を十分に達成することができたのではないかとと感じております。