2016年度活動レポート(一般公募コース)第332号
将来に向けた共同研究の活動基盤を構築する
産業技術総合研究所からの報告
このたび、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、中国の武漢大学、武漢工程大学と中国科学技術大学から、それぞれ大学院生2名の合計6名を招へいし、2016年8月24日から9月2日までの間、科学技術体験コースを実施しました。
本プログラムにおいて招へい大学院生らは、日本における陽電子科学、および材料科学分野の先端研究を学ぶとともに、世界で活躍する日本人研究者や現役学生との交流を深めるため、産総研つくばセンターを軸に関連研究に関する講義を受講し、東北大学で開催された研究ワークショップと、京都大学主催の陽電子科学研究交流会に参加しました。
これら活動により、参加大学院生らは日本における研究レベルの高さを認識するとともに、日本人研究者や学生との親交を深めることができ、その結果、将来にむけた共同研究のための日本研究者らとのネットワークや活動基盤を構築することができました。
産総研で実施されたプログラムでは、陽電子ビーム分析法、加速器ベース陽電子源、高分子材料分析、陽電子科学概論、計量標準開発、機能性材料開発、コンパクトX線源開発などの、産総研で先導する世界最先端研究に関した講義を受講しました。
さらに、産総研の研究者らによる最新研究の紹介、および関連装置見学も行いました。
参加大学院生の招へいに合わせ東北大にて研究ワークショップ(東北大WS)も開催しました。東北大WSでは、東北大木野康志准教授(専門:原子物理・環境放射線)の主宰研究室に所属する研究者と学生の講演、陽電子科学の専門家である東京理科大学Luca Chiari研究員による特別講義が行われました。
参加大学院生らもそれぞれの研究成果を発表し、参加者によるディスカッションを通じて、プレゼンテーション能力の向上を図りました。
そして、第9回陽電子科学研究交流会(主催:京都大学 土田秀次准教授、開催地:奈良県明日香村)にも参加しました。当該研究交流会は現地学生らが主体となって企画・運営され、大学や国研の研究者による入門講座や学生による研究紹介が行われました。
招へい大学院生の参加もあり、英語によるセッションも設けられ、陽電子科学の基本の理解を深めるとともに、日本人学生との交流をもつことができました。
招へい大学院生らは、本プログラムを通じて、日本における充実した研究環境や研究実践現場に直接触れられたことの喜びを表すとともに、初めてとなる日本での生活環境を体験できたことや、歴史、文化への理解を深化できたことが大変有意義であったとの感想を述べていました。
最後に、このような貴重な機会を与えていただいたさくらサイエンスプログラムにお礼を申し上げます。