2016年度活動レポート(一般公募コース)第331号
アジアの都市環境と建築の安全および防災を考える学習交流
九州工業大学大学院工学研究院建設社会工学研究系
陳沛山さんからの報告
2017年1月16日~1月25日の10日間、さくらサイエンスの支援を受けて、マレーシア理工大学(USM)から大学院生5名、学部生5名、引率教員1名を招へいし、九州工業大学戸畑キャンパスにて交流研究活動を実施しました。
本活動では、北九州市にある都市環境施設、工場や橋梁などの建設現場を見学し、日本の先進技術を学習すると共に、本大学内の研究施設や、最先端の研究内容を紹介しました。
共同ワークショップでは、都市、環境、建築、安全、防災をテーマに、両大学の学生がプレゼンテーションを行い、意見交換して、情報の共有ができました。協働作業では、両大学の学生が一緒に構造物の模型を設計・制作し、計画能力とコミュニケーション能力の向上へ繋がったと考えられます。
10日間の交流を通じて,両国の学生が異文化を体験でき、特にマレーシアの学生は日本の素晴らしい文化を体験できたのではないかと思います。
楽しいワークショップと協同作業
1月16日に一行が到着し、17日の午前中にオリエンテーション、および自己紹介を行い、午後には本学建設社会工学の研究施設、国際宇宙工学の研究室を見学しました。
18日にはワークショップを行い、暴風や洪水被害、都市環境問題、建築耐震、橋梁構造、最新構造技術等に関して各自の研究成果を発表しました。このワークショップを通して、両大学の学生は、都市環境と建築の安全、および防災に関して、十分に議論を行い、意見交換や知識の共有ができました。
ワークショップ後には、協働作業の模型制作についての計画を行いました。見学や学習の間に、両大学の学生は3グループに分かれて、時には深夜まで共同作業を行い、プログラム終了前日に模型を完成させました。
学生たちは、協力しあい、いろいろな困難を乗り越えて模型を完成出来たことに喜んでいました。
現場見学を通しての土木工事の学習
19日には、若戸大橋、若戸トンネル、プレキャストコンクリート工場を見学しました。若戸大橋は、日本初、アジア初めての高速道路吊橋であり、現在は維持管理工事を行っている最中だったため、その工事の様子を見学しました。
橋桁トラスの見学では、足元の40m下の海や船が見え、学生たちは感激していました。また、若戸トンネルの見学では、普段見えないトンネル内部の構造を勉強しました。
その後、九州北部にあるプレキャストコンクリート工場を見学しました。ここでは、巨大なコンクリート橋梁や新幹線の枕木の製造の様子を見ることができました。
建築・都市・環境施設・まちづくりに関する学習
20日には、北九州市環境ミュージアム及び北九州市日明浄化センターを見学し、重工業都市の北九州市が30余年をかけて奇跡的に環境モデル都市として生まれ変わり、「グリーン成長モデル都市」に認定されていることを学び、環境問題に対する取り組みを知ることができました。
21日には、門司港駅にて、駅舎本来の部材を丁寧に撤去し、元の位置に復元するという緻密な作業を行っている、保存修理工事を見学しました。
合わせて、「関門連絡船跡」および周辺の博物館、門司レトロ都市計画を見学し、環境に配慮した都市計画の学習と、日本の近代史を学習しました。
その後、関門トンネルを見学しながら、歩いて本州へ移動し、下関唐戸市場の建築構造の見学を行いました。ここでは、大型なコンクリートPCスラブをケーブルで吊り上げ大空間を確保するという、高度な建築構造技術を使用して建設された、唐戸市場の「吊屋根構造」を見学しました。