2016年度活動レポート(一般公募コース)第318号
日本の最先端の研究・教育環境を体感する国際交流プログラム
大阪大学理学研究科物理学専攻からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援を受け、大阪大学理学研究科物理学専攻を中心として、平成29年1月12日から1月21日までの10日間、インドの物理学分野のトップ大学から、10名の物理学の学生を招へいしました。
参加した学生は、インド工科大学ボンベイ校から2名、ムンバイ大学から2名、プネン大学から2名、デリ大学から2名、そしてタタ基礎科学研究所から2名でした。10名のうち4名は女子学生でした。
本プログラムは、「物理の基礎となる研究」「物理の応用としての企業」そして、「インドと日本の文化交流」の三本柱から構成されていました。
到着した初日は、本プログラムについて説明をし、2日目は、大阪大学短期留学特別プログラム(OUSSEP)の遠足に参加し、淡路島にあるエネルギーパーク洲本や淡路貴船太陽光発電所などを見学しました。
この際に、OUSSEPプログラムに参加していた外国人学生や、日本人学生と多くの交流が出来ました。
3日目は、大阪大学理学研究科物理学専攻の紹介と、素粒子物理学の模擬講義を受け、その後大阪大学総合学術博物館を見学しました。
4日目の日曜日を挟んで、5日目は、引き続き原子核物理学や宇宙物理学などの基礎物理研究に関する講義を受講しました。
また講義を受動的に受けているだけでなく、インド人学生にも各々自分の研究について発表してもらうことにし、その発表会第1回目を開催しました。
6日目は、大阪大学にある物理関連の大型研究施設を見学しました。まずは午前、大阪大学核物理研究センターです。加速器の講義の後、陽子サイクロトロンや実験室を見学しました。
午後は、大阪大学のレーザー工学センターにて、大強度レーザー装置の見学をしました。インド人学生は、初めて見る大規模実験施設に対して積極的に質問をし、興奮覚めやらぬようでした。
7日目と8日目は、うってかわって、企業と工場の見学です。
初日の7日目は京都の会社と工場を訪問しました。大阪から京都までバスで移動し、午前はノーベル物理学賞の田中耕一氏で有名な、島津製作所に行きました。
様々な分析機器などについて英語の説明を聞きながら、インド人学生はたくさん質問していました。特に、細やかに管理された製品の製作過程に非常に関心をもったようです。
午後は、京都の堀場製作所を訪問しました。堀場製作所の工場訪問で、インド人学生の一部は研究に必要な実験装置を見つけて、早速、購入の相談をしていました。
工場見学の後は、京都の散策です。日本の文化を感じてくれたと思います。
8日目は大阪の摂津のダイキン工場と梅田のパナソニックセンターを訪問しました。
9日目は、インド人学生がそれぞれ関心のある物理研究室へ個別に訪問し、議論をしてもらいました。それぞれの学生の興味と関心を、一層深めようとする試みでした。
ランチタイムは日本人学生と一緒にたこ焼きパーティです。学生同士で盛り上がって活発な交流ができました。
その後、第2回目のインド人学生の研究発表会を開催しました。夕方には、修了証書の授与と送別会です。インド人学生に一人ずつ感想を述べてもらいました。
10日間はあっという間に終わりました。今回参加したインド人学生のレベルは非常に高くて皆優秀でした。それを感じるだけで、準備や運営の苦労は飛び去ってしまいました。
このプログラムを通じて、基礎物理研究とか企業での物理の応用とか、いろいろ学んでくれたと思います。しかし、最も重要な成果は、お互いに、インド人は日本の文化を、日本人はインドの文化を理解できたことではないかと思いました。