2016年度活動レポート(一般公募コース)第315号
量子放射線の計測と利用を体験する
大阪府立大学地域連携研究機構からの報告
さくらサイエンスプログラムの支援のもと、地域連携研究機構の放射線研究センターが中心となって、ラオス国立大学(LONU)から 学部生5名と教員2名の受け入れ、2017年2月20日から25日の日程で交流プログラムを実施しました。
本プログラムでは、国際交流課、および工学研究科量子放射線系専攻の学生にも協力をいただき、 様々な講義、実習、見学を行いました。
初日、中継地のインチョンから午前の便で関西国際空港に到着したものの、折悪しく春一番の強風のため空港島に足止めを余儀なくされた一行は、台風並みの大雨にずぶ濡れになりながら、予定より2時間遅れで、ようやく大阪府立大学にたどり着きました。
辻学長をはじめ、府大スタッフの暖かい歓待は一行の疲れと不安を吹き飛ばすものでした。
2日目は、辰巳砂工学研究科長を表敬訪問した後、堺市の歴史、放射線の初歩についての講義を受けました。
昼食後、昨日訪問できなかった国際交流課を訪問し、府立大学の説明を受けました。午後からは2グループに分かれて実習を開始しました。
物理系および生物系の学生のグループは、大気圧放電プラズマを使った 大腸菌の滅菌実験を行い、さらに高電圧源を使って新たにプラズマ源を組み立て、自分たちの手で大気圧プラズマが作ることができることを体験しました。
化学系の学生のグループは、東南アジアで栽培されているジャトロファカルカスの種子に含まれている、発がん性物質フォルボールエステルの照射サンプルを作成しました。
3日目は、放射線研究センターの管理区域にある、コバルト60ガンマ線源および加速器を見学し、フォルボールエステル照射サンプルのガンマ線照射の実際を実体験しました。
その後、プラズマ実験室に移動し、プラズマ照射も行いました。午後から再び2つのグループに別れ、照射サンプルの解析を行いました。
今回使用した大気圧プラズマ源の効果は非常に小さいものの、ガンマ線の効果は明確に認められました。
4日目は関西国際空港に近い、京都大学原子炉実験所を訪問しました。
研究所の三澤教授の講義ののち、京大炉(KUR)と臨界集合体(KUCA)の見学を行いました。
午後から、堺市に戻り市立博物館を見学し堺の歴史に触れました。最後に大阪市内に移動し、大阪城を訪問しました。
5日目午前中は、放射線研究センターの人材育成プログラムの実習の一部を体験してもらいました。
後からは実習内容のプレゼンテーションの後、修了証書の授与を行いました。
6日目、空港への帰路は初日と打って変わった好天で、研修者一行は研修の疲れも見せず帰国の途につきました。
本事業の実現に当たって、学内外の様々な人々の支援をいただきました。
本事業を通して、ラオス国立大学、大阪府立大学双方の学生が活発に交流を行うことができ、両大学の学生にとって貴重な体験となったと考えられます。
また、京都大学原子炉実験所、堺市立博物館、および学生の急診を受けていただきました邦和病院のスタッフの皆様には、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。
最後に交流の機会を与えていただいた、さくらサイエンスプログラムに厚く御礼申し上げます。