2016年度活動レポート(一般公募コース)第305号
マレーシアの工科大学とのマテリアルサイエンス分野での共同研究
北陸先端科学技術大学院大学からの報告
2017年2月23日から3月5日までの11日間の日程で、マレーシア工科大学(UTM)のマレーシア日本国際工科院(MJIIT)から学生5名、研究者1名が本学マテリアルサイエンス系と共同研究を実施しました。
本交流の趣旨はマレーシアの廃水・廃液処理技術開発に関する技術交流を核に、国際共著論文成果に繋がる新たなプロジェクトを創出する機会を得ることで、共同研究による大学間連携を強化するとともに、マレーシアからの参加学生が日本の大学院に進学する機会を提供することを目的としました。
受入教員との面会、研究スケジュールの確認
一行は本学に2月23日夜に到着した後、24日に本学事務において学生証の受取など事務的手続きを行いました。
24日の午後は3名の受入教員との面会を済ませ、滞在中に行う予定の実験についてディスカッションや指導を受けました。学生は多くの測定サンプルを持参しており、本学との共同研究への意気込みを感じました。
金箔貼りを通じて日本文化を体験
訪問した6名の学生・研究者と本学教員がまずお互いをよく知るために、週末の25日、26日の両日に鉄道で金沢を訪問し、日本文化を感じることができる、ひがし茶屋街で金箔の箔貼り体験を行いました。
6名とも見事な仕上がりの作品を作ることができました。仕上がった作品はお土産として持ち帰りました。他に近江町市場で試食をしたり、わさび入りのお寿司を試してみたりと日本の食文化を積極的に知ろうとしていました。この2日間で次週の実験スケジュールを固めることができました。
作成したサンプルの各種同定実験
27日から3月2日の4日間は研究サンプルの同定実験を実施しました。
6名の学生・研究者は水浄化に関連する研究サンプルを事前にマレーシアで作成して持参しており、各自の研究目的に沿って電子顕微鏡などでキャラクタリゼーションを行いました。
北陸先端大には高分解の電子顕微鏡をはじめとする様々な先端装置が多数導入されており、これらの装置を活用して研究を進めました。使用した主な装置は、SEM, XPS, XRS, ゼータ電位計、FT IR、NMR、TG-DTA等です。
協力いただいた本学関係者は10名以上におよびました。関係者に御礼申し上げます。6名の学生・研究者は各自の測定時間を調整することで、全ての装置を効率的に活用できるように工夫をしていました。
サンプルの一部は美しい高次構造を有した多孔質吸着材料であることがわかり、今後の水問題への取り組みに期待が寄せられました。
本学学長を訪問
3日午後に6名の学生・研究者が本学学長を訪問しました。学長は6名の学生・研究者一人一人の研究内容について耳を傾けられていました。また、本学の教員陣や先端設備を活用して研究を進めていただきたいと述べられました。
成果報告会の実施
本学学長を訪問後、得られたデータをまとめた成果報告会を行いました。
6名の学生・研究者が各15分ずつ発表を行い、その後質疑応答、今後の計画について本学教員・学生と議論しました。データの解析は限られた時間しかありませんでしたが、各自のプレゼンは見事にまとまっていました。
成果報告会には新聞記者が同席し、本交流内容が翌日の朝刊で公開されました。成果報告会後に特にご協力いただいた本学教員と記念撮影を行いました。6名の学生・研究者は発表を終えて全員ほっとした表情でした。
フェアウェルパーティの実施
3日夕方に関係者を交えてフェアウェルパーティを行いました。
まず、本学マテリアルサイエンス系長から挨拶がありました。カレーやお寿司を食べながら、さくらサイエンスをサポートした本学教員・学生らとにぎやかに交流が進められました。最後に6名の学生・研究者を代表して、Komathyさんから御礼の挨拶がありました。最後に記念撮影を行いました。
日本科学未来館の訪問
4日は東京に北陸新幹線で移動し、日本が誇る先端科学技術をより広く深く知るために、日本科学未来館を訪問しました。本学からも教員が同行し、訪問のサポートおよび内容の説明を行いました。日本科学未来館内の展示物はもとより東京の建築物や道路のゴミの少なさに感心していました。
出国準備と出国
5日に出国しました。フライトまでの時間は得られたデータやプレゼン資料のバックアップや日本のお菓子・グッズをお土産として買い集めていました。出国後、無事マレーシアに全員到着したことを確認しました。
今後も交流を続けていきたいと考えています。本プログラムをサポートいただいたさくらサイエンスプログラムの皆様に御礼申し上げます。