2016年度活動レポート(一般公募コース)第304号
生命進化と科学技術の発展について学ぶ
理化学研究所環境資源科学研究センター 生体機能触媒研究チーム 中村 龍平さんからの報告
理化学研究所環境資源科学研究センター生体機能触媒研究チームでは、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、平成28年11月7日から15日までの9日間、中国の上海交通大学と武漢大学から、計4名の大学院生を受け入れました。
本プログラムは「生命進化と科学技術の発展」をテーマにしており、100年後の地球環境を見据えたエネルギー環境技術に触れ、生命起源ワークショップへの参加を通して40億年に及ぶ生命進化の歴史を学ぶことで、今後の科学技術が進むべき方向性について議論することを目的として開催しました。
11月8日には室員に対し学生らの研究紹介を行った後、NASA Jet Propulsion LaboratoryのMichael Russell先生とLaurie Barge先生のセミナーを聴講しました。
9日は、東京工業大学地球生命研究所で開催された、生命起源に関するワークショップ(From Minerals to Enzymes: Electrochemistry at the Origin of Life)に参加し、生命起源の研究分野における最新動向に触れました。
10日には、当チームで行われている電気化学測定を体験するため、実験を行いました。
まずは電気化学測定用のセルを組み立て、電気化学測定の仕組みとセルの設計について学びました。その後リニアスウィープボルタンメトリー(LSV)という手法を用い、電気化学測定を行いました。
また、研究室にあるin-situ分光電気化学測定が可能な実験装置について、実際の電気化学セルを取り付けながら、測定の原理・方法と得られる情報について理解を深めました。
その後室員からチームが行っている研究についての説明を受け、材料化学から微生物、そして生命の起源から未来のテクノロジーまで幅広い電気化学の応用可能性を理解するとともに、研究内容に関する議論を行いました。
11日には、理研が行っている研究について知ってもらうため、理化学研究所見学ツアーに参加しました。
理化学研究所の概要説明を受けた後、脳科学総合研究センターを訪問し、脳科学研究の最新動向に触れました。その後光量子工学研究領域 光量子制御技術開発チームを訪問し、最新のレーザー研究について学びました。
プログラム最終日の14日には成果発表会を行い、本プログラムを通じて学習したことについて各学生が発表を行いました。
生命起源の最新研究や電気化学の実験を体験したことが有意義な経験になったことに加え、研究や文化の観点から中国と日本との違いについて深く考えるきっかけになったと話していました。
本プログラムを通じ、学生には日本での研究現場を肌で感じてもらうことができました。また、中国の優秀な学生との交流を持ったことで、室員にとっても大変良い刺激となりました。
このような交流の場を与えて下さったJSTさくらサイエンスプログラムに感謝致します。