2016年度 活動レポート 第294号:東京海洋大学学術研究院海洋生物資源学部門

2016年度活動レポート(一般公募コース)第294号

マレーシア大学サバ校から大学院生ら5名が体験研修に来学

東京海洋大学学術研究院海洋生物資源学部門からの報告

ボルネオ島コタキナバルにあるマレーシア大学サバ校と学生交流協定を締結し、学部学生の交換留学を始めました。

両国で共通の課題である、マングローブガニに病気を起こす細菌があり、是非、そのゲノムDNAの配列解析を一緒に体験しながら研究しようということになり、本プログラムに応募しました。

幸運にも採択され、2月5日~12月15日の日程で、サバ校ボルネオ海洋研究所から引率の講師1名と大学院生5名を本学の品川キャンパスに招へいし、本学の機械を使ってその解析を体験して頂きました。

12月5日、成田空港に出迎えると、1名足りない!話を聞くと、学生1名がマレーシアから出国できなかったとのこと。本人はそうとうショックで、JSTのご担当者と相談し、また、先方の先生とやりとりして、後から来日するかなど、いろいろと検討しましたが、研修時間の関係で結局は諦めることになりました。

そんなトラブルがあり、1名少ない計5名となりましたが、研究室の学生達が歓迎会を開いて弾みを付けて、本学でのDNAシーケンスの体験研修は、予定通り始まりました。

次世代シーケンサーMiSeqでの細菌ゲノムDNA解読は、プロトコールに従って、細菌からのDNA抽出、解析用のDNAライブラリー作り、シーケンサーでの解析と順調に進んでいきました。研修の学生達は、DNAシーケンスは初めてですが、一つ一つ確かめつつ慎重に取り組み、非常にうまくできました。

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研究室での実験
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研究室での実験

シーケンサーにかけている時間を利用して、本学の実習場の一つである千葉県館山ステーションを訪問しました。実施されている研究を本学の大学院生が英語で説明してくれました。

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千葉県館山市にある本学の館山フィールドステーションを訪問

マグロの生殖細胞をサバに移植することにより、サバがマグロの卵を産むという世界先端の研究である“代理親魚技術”を紹介され、高い技術とアイディアに本当に感動し、大学院生を質問攻めにしていました。

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大学院生から研究について説明を受ける。興味津々

引率の私たちは、研修生達を感動させた本学の大学院生に感動しました。

翌日は、データ回収を行って、その後は、日本の文化体験として東京視察に出かけました。葛西水族園、江戸東京博物館や浅草などの見学やもんじゃ焼きの夕食、を楽しんでいました。 体験研修の後半は、甲殻類の種苗生産技術などの講義と、DNA配列データの解析です。遺伝子配列の予測やタンパク質の相同解析などを体験して貰いました。

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本学教員による講義

解析結果から分析した菌はどうやら新種であることが分かりました。これから両校の共同研究として、研究を続けていく予定です。

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DNA配列データを解析。新種か?

1名が来日できなかったというトラブルはありましたが、少し盛りだくさんな研修を無事終えることができました。

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水族館にて。皆、魚好き!
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やはり行きたい浅草にて

最後に本学の学長からさくらサイエンスの修了証を授与されました。「体験研修ができ、また、日本の文化にも触れ、すばらしい研修経験ができ、是非、また来日して勉強・研究したい」と、口々に感想を述べていました。

本学とマレーシア大学サバ校との絆がますます深まったと思います。このようなすばらしい機会を与えてくださったさくらサイエンスプログラムに心より感謝します。

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修了証を渡され、本学学長と懇談