2016年度活動レポート(一般公募コース)第293号
バイオマス有効利用・機能材料の国際学術交流
熊本大学大学院自然科学研究科物質生命化学専攻からの報告
2016年12月4日~12月11日の期間、ソウル大学(韓国)、チュラロンコン大学(タイ)、フィリピン大学(フィリピン)、デラサール大学(フィリピン)、アテネオデマニラ大学(フィリピン)、ホーチミン市校工科大学(ヴェトナム)、マンダレー工科大学(ミャンマー)、ペトロナス工科大学(マレーシア)、スラバヤ工科大学(インドネシア)、カンボジア工科大学(カンボジア)から、1名ずつの合計10名(教員1名、研究員1名、学生8名)をお迎えして、交流プログラムを実施しました。
本プログラムでは、熊本大学の教員による先端科学講義や、国際学会であるJoint International Symposium on 「Regional Revitalization and Innovation for Social Contribution」 and 「e-ASIA Functional Materials and Biomass Utilization 2016」での学生、若手研究者による研究紹介、学外活動として県内外の民間企業や工場、公的研究機関への訪問や熊本の歴史、自然、文化の体験をしていただくようにしました。
先端科学講義では、本学の高藤誠准教授、Quitain Armando助教、また海外からスペインのカタローニャ化学研究所より浦川篤氏に、超分子や化学工学に関する先端研究について講義を行っていただきました。
国際学会では、本学に短期滞在中の8名にも発表していただきました。
熊本大学を始め日本の大学院生、学部生も多数参加した学会となり、各大学における先端分野の研究や技術を知る機会となりました。バイオマス資源の活用などについての講演会も開かれ興味深く聞いていました。
また、学会終了後、主催者であるアスキー(株)の方が交流会を開いてくださり、そこではクラシック音楽の演奏や太鼓の演奏など海外の方の興味を持つような演出を考えていただいておかげで、参加者らは非常に楽しんでいました。
熊本県内の公的研究機関の見学も行いました。熊本県産業技術センターを訪問し、最先端の技術や分析機器の説明をしていただきながら見学を行ったほか、熊本地域で薦められているJSTの地域イノベーションプログラムについても説明を受けました。
また、熊本県内の製造メーカー1社と化学メーカー1社、また県外の食品メーカー1社と肥料メーカー1社を訪問しました。
手作業で行うガラス器具を作るプロセスを間近で見たり、食品加工残渣の有効利用法、飲料の製造ラインの仕組み、工場レベルでの大型の蒸留装置を見たり、日本企業の最先端技術について多くのことを学んでいただけたようです。
今回のさくらサイエンスプログラムでは2つの国際学会に参加してもらいました。その2つ目がInternational Student Conference on Advanced Science and Technology(ICAST 2016)になります。
その学会では、熊本大学の学生および多くの留学生を招き、各々が行う研究について発表をしていただく中で、先端分野の研究や技術を知る機会に加え、他の国籍を持つ人との交流を深める素晴らしい機会となりました。
また、その国際学会ではこのさくらサイエンスプログラム参加者ら5人が、優れた研究と発表をした人に与えられる賞をもらい、中身の濃い国際学会になったと思います。
さらに、学会終了後、参加者ら全員による交流会も開かれ、そこでは太鼓の演奏やくまモン体操など海外の方の興味を持つようなイベントがあり、参加者らは非常に楽しんでいました。
週末の10日には、島国ならではの日本の自然やその行くところどころの風土・食事を学んでもらうため、天草にてイルカウォッチングを行ない、藍のあまくさ村(休憩&ショッピング)を訪問しました。
長時間かつ広範囲にわたり移動したため、非常にハードなスケジュールだったにも関わらず、参加者同士の会話と笑顔が絶えず、存分に楽しみながら学んでいる様子でした。
同行していた日本人学生も、英語および熊本の自然、風土を学ぶ機会となり、非常に良い体験となったと思います。
本来は昨年と同様、水前寺成趣園や熊本城、阿蘇の白川水源および大観峰にて、日本の自然や文化を楽しんでもらえるツアーを組んでいましたが、4月の熊本地震により、執り行うことが困難になりました。
しかし、復興途中である熊本市内の様子や熊本城の現状を見てもらうことにより、参加者の不安や心配を払拭するほどの日本人の強い意志、我慢強さをアピールできたと強く感じています。
本プログラムを実施するにあたり、ご協力いただきました本学の教員、事務職員の皆様、ならびにプログラム成功に最も貢献していただいた本学の学生に感謝いたします。
また、多大なご支援をいただきましたさくらサイエンスプログラムに深く感謝いたします。