2016年度活動レポート(一般公募コース)第290号
OLEDデバイスの作成方法の習得と高効率デバイスについての研究開発
九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターからの報告
九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)では、さくらサイエンスプログラムの採択を受け、モンゴル国の新モンゴル工科大学の4名の学生を招へいし「OLEDデバイスの作成方法の習得と高効率デバイスについての研究開発」を実施しました。
実施期間は2016年11月28日から12月16日までの19日間で、安達教授からの有機ELに関する講義に加え、合計11人のOPERAの教員・研究員から有機エレクトロニクスの最先端技術について講義を行いました。
モンゴルのNew Mongol Institute of Technology (NMIT)は、日本の技術や教育の進め方に注目し、学長自身も東京工業大学で博士を取得しています。一昨年にはすでに、OPERAにて1名の留学生を当センターで約2か月受け入れをし、OLEDデバイスの作成やOLED材料開発について学んでいました。
New Mongol Institute of Technology (NMIT)は、こういった技術を今後も集積していきたい考えを持っており、いずれはOLED開発を推進できる体制を構築したいと考えられているため、大変有意義な交流となりました。
11月29日の初日には、全体ミーティングにおいて、モンゴルの紹介と英語での自己紹介をしていただき、滞在中の抱負を話してもらいました。
ラボツアーでは、ドクターの学生の三重野君から、OPERAでの有機エレクトロニクス材料・デバイスを研究している設備を紹介しました。有機合成室、デバイス作成室、クリーンルームなど、最先端の設備での研究に感銘を受けている様子でした。
また滞在期間中の平日は、研究室の学生と毎日ランチに行くようにし、交流を深めました。
今回は、OLEDの作成を準備作業から全て行うため、教員・研究員からの授業だけでなく、学生からも実験指導を行いました。デバイスの基板材料を洗浄したり、表面の計測をしたり、実際の実験を体験しました。
各教員・研究員からの授業では、OLEDだけでなく、有機エレクトロニクスの新しい太陽電池や有機半導体レーザー、蓄光材料など様々なデバイスについても学びました。
4人中2人はまだ学部の学生で、この機会に初めてパスポートを取得していました。そのため、授業の内容だけでなく、見るもの全てが新しく映ったと思います。
特にモンゴルでは海があまりないため、博多のシーサイドの眺めや糸島の海岸の眺めなど、休日のエクスカーションでは大変喜んでいました。
最終日には各学生から10分間ずつのプレゼンを行ってもらい、この滞在期間で学んだこと、また印象に残ったことを話してもらいました。
最年長のマスターの学生は、すでに多くのことをモンゴルでも積極的に学んでいましたが、「世界で誰もやっていない、新しいことに取り組むことが大事だ」と、安達教授から伝えられました。来年の秋からは九大でのドクターコースの学生として入学を希望しています。
これをきっかけに、引き続き、さらなる学生さんの留学や共同研究が推進されると確信しております。
モンゴルでは、まだ有機エレクトロニクスを推進している研究室はあまりなく、日本で最先端のサイエンスを学ぶ事に大変期待しています。
本プログラムを助成してくださった、さくらサイエンスプログラムに感謝すると共に、今後も、モンゴルの学生・研究者との研究交流をご支援いただけましたら幸いです。