2016年度活動レポート(一般公募コース)第277号
インドの周産期医療の向上のための日本の医療・科学技術の習得
宮崎大学医学部大学院看護学研究科教授 金子政時さんからの報告
事業目的
母体死亡の主な原因である、産科救急症に対するシミュレーション教育を通した医療技術の習得、チーム医療ならびに感染対策に対する知識の習得を図り、さらに、母体・新生児の罹患率や死亡率に影響を及ぼすウイルスおよび細菌感染症の検査、ならびに創傷治癒に関わる医療科学技術を学び、基礎医学的な側面からもインドの周産期医療の向上を支援することを目的としました。
研修内容
1.サイトメガロウイルス感染症の診断技術の習得
愛泉会日南病院疾病制御研究所所長 峰松俊夫医師からPolymerase chain reaction法に関する講義と実習指導を受けました。
2.創傷治癒機転に関わる基礎研究技術についての習得
創傷治癒は、細菌感染対策にとっても重要な要因です。HARISHKUMAR MADHYASTHA助教から、それに関わる医療科学技術を学びました。
3.チーム医療実践のための講義と産科出血対応のシミュレーション教育
母体死亡の主な原因は、産科出血に代表される産科救急症です。そこで、産科出血への対応を、シミュレーション教育を通して医療技術の習得を行いました。
シミュレーションにおいては、3人の研修生と2人の本学看護学研究科大学院生からなるグループを3グループ作り、チーム医療と産科出血への対応を学びました。また、総合周産期母子医療センターならびに救命救急センターを視察し、日本の救命救急活動について学びました。
4.熊本地震における産科施設の対応と現地視察(慈恵病院、熊本城)
熊本地震においては、妊産婦や新生児を管理する高次施設が被災しました。熊本の慈恵病院を訪れて、蓮田太二院長および医療スタッフから当時の対応についてお話しを聞きました。
5.児童支援と重症心身障害児支援の現状を視察
愛泉会日南病院重症心身障害児病棟および慈恵病院を視察しました。
6.成果報告会と修了証書授与
研修生によるスライドを用いた成果報告の後に、全研修生に修了証書が授与されました。
7.現地での新聞報道
現地(インド)の新聞に、インド出発前に11名の研修生が本プログラムに参加する旨の記事が掲載されました。また、帰国後には、ニッテ大学内の広報記事に報告書が掲載されました。
8.今後の展望
今回のプログラムで行われた人的交流や医学・科学技術の交流を発展させて、両大学看護学部間の共同研究の提案と実行に繋げる予定です。
本プログラムを実施するにあたり、多大なご協力をいただきました愛泉会日南病院、慈恵病院、宮崎県助産師会、宮崎市郡医師会病院産婦人科、宮崎大学医学部附属病院、本学の教職員ならびに学生の皆様へ深く感謝いたします。
また、多大なご支援をいただきました、さくらサイエンスプログラムへ心より御礼申し上げます。