2016年度 活動レポート 第274号:東京大学大学院薬学系研究科

2016年度活動レポート(一般公募コース)第274号

中国トップクラス大学生との交流を通じた有機合成化学の発展

東京大学大学院薬学系研究科からの報告

さくらサイエンスプログラムにより中国蘭州大学の王震教授のグループを招へいし、8月22日から26日の5日間にわたって、関東各所の研究機関で交流を行いました。

初日となる22日は、東京大学大学院薬学系研究科の見学を行いました。ホストである金井研究室の施設を中心に見学を行った後、博士研究員やグループリーダーと研究紹介・ディスカッションを行いました。

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蘭州大学のメンバーは学部学生中心、かつ来日して初めての場面ということで、やや緊張していたようでしたが、王震教授を中心に交流を深めることができました。

2日目は、濱島教授のホストのもと、静岡県立大学を訪問しました。濱島教授、真鍋教授、渡辺教授、菅教授の研究室を見学し、各研究室でディスカッションを行いました。

各教室の研究内容は、反応開発から全合成、天然物化学まで幅広く、密度の高い時間を過ごしました。また、ディスカッション後には、懇親会にて研究のみならず学生との交流を深める時間も有意義に活用しました。

3日目は、侯グループディレクターにホストをお願いし、理化学研究所の見学を行いました。侯有機金属化学研究室、袖岡有機合成化学研究室、田中生体機能合成化学研究室、グリーンナノ触媒研究チームの施設見学を中心に、国内トップレベルの研究環境を説明いただきました。

いずれの研究室も有機反応を扱うものの、研究の専門に従って生体内イメージング、フロー合成装置など研究設備の違いが表れており興味深く話を伺いました。

見学後は、侯有機金属化学研究室のメンバーとのディスカッションを行う場も設けられ、中国出身の博士研究員と有益な情報交換を行うことができました。

4日目は、日本科学未来館の見学を行いました。前日までの有機化学中心の研究室見学とは異なり、未来館では日本の科学全般に触れることができました。

物理、生命、宇宙、ロボットと、まさに未来につながる技術の種を見るだけでなく、体験することもでき、科学の持つ力の大きさを改めて実感できる場となりました。

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5日目は、かずさDNA研究所の見学を行いました。金井研究室の学生が引率し、高速バスで千葉県木更津市まで足を延ばしました。かずさDNA研究所では、ゲノム研究を中心とした生命科学・技術の研究に触れることができました。

蘭州大学のメンバーは、有機化学を専門としており、ゲノム研究などの生命科学研究を目にする機会はほとんどなかったため、新鮮な経験となりました。

現在は、分野横断的研究も非常に盛んになりつつあり、このような他分野の研究に触れる機会は、今後の研究姿勢にも好影響があると期待しています。

以上、計5か所の施設を見学し、各所でのディスカッションを通じて日本の研究を学ぶことができました。

特に、大学・研究所見学では、さまざまな分野をリードする日本トップレベルの研究室を見学することができ、刺激の多いプログラムとなりました。

今回のプログラムで来日した蘭州大学のメンバーの中には、これを機に日本の大学院進学を検討している学生もおり、このようなプログラムを通じて日中のさらなる交流につながることを期待しています。

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