2016年度活動レポート(一般公募コース)第272号
インドネシア共和国ハサヌディン大学との学術交流会
島根大学医学部精神医学講座からの報告
さくらサイエンスプログラム(共同研究活動コース)で招へいされた、インドネシア共和国ハサヌディン大学医学部精神医学講座に所属する医師(教員および研究者)3名が、平成28年10月10日~10月18日の約10日間、島根大学医学部精神医学講座において学術交流プログラムを行いました。
このたびのプログラムでは、ハサヌディン大学精神医学講座のTanra教授を中心として行っている学術交流をより強固にすることを目的としており、今回の招へい者の一人であるリアウリ医師を中心として現在共同研究をしている、統合失調症患者の治療前後の唾液アミラーゼおよび心拍変動係数の収集データについての確認作業、およびそのデータ解析について、最新の情報を交換し、今後の課題や計画の確認を行いました。
また、本プログラムを通して、学生および医師同士の交流を深めることで、参加者が将来本学との研究交流、大学院への入学等を志すことを促す基盤づくり、関係づくりを行うことも目的として行いました。
10月11日、堀口教授とのオリエンテーションの後、医局スタッフおよび研修医や医学生と共に歓迎昼食会を行いました。
また、地域の精神科病院である医療法人同人会海星病院において、単科の精神科病院の施設見学および医師とのディスカッションを行いました。別の日には、島根県こころの医療センターにおいても施設見学し、特に子どもの精神科医療についてインドネシアと日本との違いなど積極的にディスカッションを行いました。
12日~14日にかけては、島根大学附属病院内の見学、外来患者さんの診察に同席するなど臨床業務について学び、医師との意見交換を行いました。本学に導入されている最先端の医療用診断機器である「光トポグラフィー装置」を参加者自ら体験しました。
電気けいれん療法はインドネシアでは麻酔なしで治療が行われるため、麻酔科医同席のものと手術室で行われる日本の治療も、実際に見学しました。
臨床心理士からは、心理検査の手法や医師との連携の仕方について講義を受け、日本とインドネシアとの違いや患者さんとのかかわり方についてなどディスカッションを行いました。
日本の医療との共通点や違いを積極的に学び、母国での医療に生かせないかという姿勢でそれぞれの医師や心理士に積極的に質問している姿が大変印象的でした。
更に、基礎研究においては、リサーチカンファレンスに参加し、基礎研究および共同研究についての進捗状況の共有、意見交換を行いました。そして、基礎研究で実際に使用するラットの解剖の見学や、脳組織の染色手技などのトレーニングを行いました。リアウリ氏を除く2名は初めてみる基礎研究に最初戸惑いを覚えていたようでしたが、丁寧に説明すると積極的に参加する姿もありました。
15日、16日の週末には、島根大学医学部の学園祭もあり、また、出雲大社や日御碕などを見学し、日本の文化に触れることもできました。
最終日には、広島県三原市の特定医療法人大慈会三原病院の小山田病院長の講義に参加しました。また、教授回診にも参加し、日本の臨床現場で学んだことも含め、今後の共同研究の新たな実験計画についてなど、全体の総括を行いました。
短期間ではありましたが、本プログラムを通じて、これまでのメールやテレビ会議とは比較にならないほどの、共同研究の推進効果がありました。
また、参加者は日本の医療の現状を知ることができ、それらを母国でいかすだけでなく、基礎研究の重要性についても再認識し、今後の学術交流をより強固なものにしていくことを約束しました。