2016年度活動レポート(一般公募コース)第268号
日本の環境対策技術と環境教育について学ぶ
島根大学からの報告
島根大学では11/26から12/3の8日間、「日本の環境対策技術と環境教育」というテーマで、西北農林科技大学の学生一行を受入れました。西北農林科技大学は985工程、211工程を取得した農林系の有力大学で、島根大学と協定を締結しています。
オリエンテーション・環境関連講義
前日夕方に松江に到着した一行に対して、午前中は本プログラムの趣旨と視察予定などについてオリエンテーションを行い、午後は環境に関する3つの講義「島根大学の環境管理システムと環境教育」、「CO2排出削減と再生可能エネルギー」、「もったいないという思想」を行いました。
講義により島根大学が環境教育に取り組み、その体制が充実しており、今回のプログラムはそのソフトウェアを活用したものであることを印象付けました。メンバーからも熱心な質問が相次ぎ、意欲のほどがうかがわれました。
松江市内の廃棄物処理施設など
エコクリーン松江(ごみ処理場)では、大型のごみクレーンやガス化溶融炉等の見学をし、ごみ処理で生まれた熱を電気に変える仕組みや、高温で溶融することによる人工砂の生成等について学びました。
川向リサイクルプラザでは、家庭等から分別収集された資源ごみのリサイクルの流れを見学し、ごみの減量化の意義や環境への負荷低減の大切さを、また宍道湖東部浄化センター(下水処理場)では、家庭や工場から出る下水を、きれいにして自然にかえし、宍道湖・中海の水質改善を図っている様子を学びました。
環境配慮型市庁舎・バイオマスエネルギー供給会社、雲南市民泊
午前中は大学で2つの環境関連講義を受けました。
午後からは2泊3日の中山間地域の視察が始まりました。
雲南市では、環境に配慮した自然エネルギー利用型低エネルギー市庁舎を建設し、今後の公共建築のモデルとなっています。市庁舎を視察するとともに市役所の環境部門の仕事内容について学びました。
また、市では森林整備を進めるとともに林業活性化のために未利用材バイオマス利用を促進し、それを活用したエネルギー供給会社も視察し、地域におけるエネルギー資源循環が地域経済の活性化に繋がることを学びました。
雲南市での宿泊は民泊を利用し、一般的な農家での生活を体験しました。参加者は初めての日本家屋での生活体験を楽しみました。
森林セラピー体験、久喜銀山遺跡視察
飯南町では森林の保健休養機能を活用し森林セラピー基地を設置しており、参加者は短い時間だが、森林ガイドとともに五感を使い森林そのものに触れるという体験を行ない、森林環境の健康的活用と地域活性化について学びました。
午後は邑南町の久喜銀山遺跡を視察し、環境と共生していた鉱山の仕組みと、地域住民産業遺跡の保全の取り組みを経験しました。
邑南町民泊、石見銀山、三瓶自然館について
4班に分かれて農家民泊を体験しました。日本の農民・農家の生活を実感できたことから、最も印象的な研修内容としてあげる研修生が多くいました。英語も中国語も分からないまま、通訳無しに宿泊した班もあり、むしろいっそうの深い交流が生まれました。
石見銀山にて、石見銀山資料館館長の案内により研修を行いました。ここで学んだのは、環境保全と鉱山開発が両立した稀有な事例であること、実際にそこに住民が生活している地域社会も含めて、世界遺産に認定されていることなどです。
大森地区の地域の持続可能性が、世界遺産の保全としても大きな課題になっており、それに取り組む人々の営みを学ぶことができまし。
午後からは三瓶自然館サヒメルにおいて、自然を題材にした環境教育の実践基地としての役割を学びました。児童・生徒を受け入れる上で充実した施設設備を見学するとともに、そのコンテンツと研究員の教育上の力量形成などについて学びました。
帰学後、研修団一行と島根大学の学生との交流会を催しました。日中学生が協力して料理を作ったことで、お互いに緊張がほぐれ、英語によるコミュニケーションで打ち解けあい、楽しみました。
宍道湖自然館ゴビウス、認定NPO自然再生センター、日中交流会
宍道湖・中海の汽水環境の特性の理解と保全の取り組みについて視察しました。ゴビウスでは汽水域の魚類・鳥類の保全と観察を体験し、微妙なバランスのうえの生態系について学びました。
午後は自然再生センターで、汽水域と両湖をつなぐ河川の市民参加による保全の取組みを学び、松江市内の天神川に繁茂する水草の刈り取り体験を行いました。
最終日の視察の後、島根大学との日中交流会が行われました。秋重幸邦副学長(企画・学術研究担当)からの挨拶の後、本研修の修了証が西北農林科技大学国際交流所副所長の石穎賢教授、9名の博士・修士課程学生に手渡されました。
会食時に、本プロジェクトで得た知見について、それぞれ秋重副学長に報告が行われました。本プロジェクトをさらに拡張し、本学と西北農林科技大学が主体となり、中国西北部を包含した地域との学術交流の実現にむけての活発な意見交換が行われました。