2016年度 活動レポート 第265号:日中協会

2016年度活動レポート(一般公募コース)第265号

寧夏科学技術庁食品安全研究者等の受入れ結果報告

日中協会からの報告

平成28年11月16日~11月20日の日程で、(一社)日中協会は、さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、寧夏科学技術庁、寧夏農林科学院、寧夏大学、寧夏農業技術普及センターから大学院生3名、研究者6名、その他6名計15名の受け入れを実施しました。

中国国内では、以前から食品安全問題が大きな課題となっており、さまざまな措置を実施してきたにもかかわらず、効果が広く浸透するところまできていません。

そのような状況の下、寧夏科学技術庁をはじめとする一行15名の研究者は、食品安全管理・監督政策、食品安全試験、食品加工技術などについて、日本の関係機関を訪問し交流しようと思い来日することとなりました。このような交流を通じて、中国の食品安全の取り組みが発展・浸透することに貢献することとなればと考えています。

訪問初日は、午後に東京成田国際空港に到着し、一行は日中協会の職員の出迎えを受け、その後都内の宿泊施設(国立オリンピック記念青少年総合センター)に向かい、夕方に同所で今回の訪問・研修のオリエンテーションを行ないました。

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国立オリンピック青少年総合センターでのオリエンテーション(参加メンバーがうち解けることができました。)

オリエンテーションでは、参加者の自己紹介を行うとともに、日中協会から訪問スケジュール、および訪問にあたっての注意事項について伝えました。翌日からの訪問・交流に先立ち、参加メンバーが打ち解けることができてよかったと思います。

2日目は、午前に東京都福祉保健局特に健康安全部食品監視課における東京都の食品衛生に関する条例・計画、食品事業者の指導、都民に対する情報提供等食品衛生・安全に対する取組状況について説明をうけました。食品安全・監視に携わる行政担当者の仕事の厳しさの話が印象に残りました。

東京都福祉保健局担当者からの東京都としての取組み状況説明(食品安全を守る行政担当者の仕事と厳しさ)

午後には、つくば研究学園都市に移動し、農業・食品産業技術総合研究機構において、食品安全研究領域長である等々力節子さんから、食品原料の生産から食卓までの「フードチェーン」全体を通ずる、「安全な食品」をつくり提供するプロセスの説明を受けました。

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農業・食品産業技術総合研究機構におけるフードチェーンプロセスの安全確保の説明(食品素材から食卓までの食品安全システム)
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農業・食品産業技術総合研究機構での集合写真

これらの説明によって、日本の食品安全に関する考え方や施策・取り組みを理解できました。日本は以前から食品安全に関する法律を制定・施行し、食品安全に関する基準を制定するとともに、食品安全に対する意識を涵養するなどを通じて、世界の中で先進的な国となりました。訪問メンバーの方々には、日本で取り入れている考え方や仕組み等を参考にしてもらえればと思います。

3日目は、午前に東京農業大学を訪問し、国際協力センターの事務室長の案内で、応用生物科学部食品安全健康学科長大石祐一教授から、当学科の教育研究内容について説明を受けました。

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東京農業大学での研修風景(食品安全健康学科)

安全な食品を生産するための実験・研究などの取り組みをについて説明を受け、幾つかの研究テーマについては研究室で先生方や学生が実験を実施している場面を見せていただくことができ、大変参考になりました。

授業を受けるだけにとどまらず、実習を多く取り入れる実践的・実質的な取り組みが印象に残りました。学生の中には中国からの留学生もおり、東京農大での学習・研究成果を中国で実践して欲しいと思いました。

午後は(一財)日本食品分析センター多摩研究所を訪問し、お客様サービス部お客様相談室で、日本における食品の検査・安全管理について説明を受け、検査の実際の状況を見学することができました。

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日本食品分析センター多摩研究所での集合写真(食品安全分析の説明・見学)

4日目は参加者全員で、宿泊先にて今回の訪問を通じて得られた経験について報告を行いました。

最終日には、日本科学未来館を訪問し、日本の科学技術全般の見学を行いました。

短期間にもかかわらず、非常に充実した意味のある交流を実施することができました。このような貴重な機会を与えていただいたさくらサイエンスプログラムに感謝すると共に、今後も、日中間の各種領域の交流事業を推進していくように心がけたいと考えています。