2016年度活動レポート(一般公募コース)第262号
日本の最先端情報通信技術を通した国際交流
早稲田大学社会科学総合学術院 藤原整さんからの報告
2016年12月19日から12月25日までの1週間の日程で、早稲田大学先端社会科学研究所が受け入れ機関となり、ブータン王立大学(Royal University of Bhutan)を送り出し機関とする、教員・学生の招へいプログラムが実施されました。
ブータン王立大学からは、ジグメ・ナムゲル工科カレッジ(Jigme Namgyel Engineering College)、およびシェラブツェ・カレッジ(Sherubtse College)の2つのカレッジから、それぞれ教員1名、学生4名、合計10名が招かれました。
プログラムの内訳は、早稲田大学学内におけるプログラム、学外におけるフィールド調査の大きく2つに分類されます。
まず、学内におけるプログラムとしては、早稲田大学の各キャンパスツアー、特別講義・ワークショップ、そして、文化交流イベントなどが実施されました。
キャンパスツアーでは、ブータンでは有り得ない規模の広大なキャンパスと学生数に、招へい者たちはみな圧倒されていたようでした。
また、理工学術院のツアーのなかでは、最先端のロボット工学のラボなども特別に見学が許され、大いに感銘を受けていました。
特別講義は、今回の招へいプログラムの本旨である、情報通信技術に焦点を当て、その普及や浸透がもたらす社会的影響について学ぶ機会を提供することができたものと考えています。
ワークショップでは、まず前半は、「ブータン王国の社会問題」をテーマに、ブータン王立大学の2つのカレッジから、それぞれグループ報告をいただきました。
一つ目のグループは、「農村の過疎化」について、もう一つのグループは、「若者の失業」を、各々問題として掲げました。その報告結果をもとに、後半は、テーブル毎に課題解決のためのグループ討論の時間を設けました。
このワークショップを通じて、日本側参加者は、ブータン王国の実態について認識を深めることができました。一方、ブータン側参加者は、自国内では得られない多方面からの知見を吸収することができ、実り多い会になったようででした。
一方、学外におけるフィールド調査では、限られた時間のなかで、渋谷・新宿といった繁華街エリア、秋葉原電気街、銀座商店街、日本科学未来館を含む台場エリア、上野・浅草といった下町エリアなどを視察し、日本における最新の情報通信事情や、それらを取り巻く日本の科学技術や文化・風土に触れる機会を持ってもらいました。
渋谷のスクランブル交差点の風景や、1日の乗降客数が300万人を数える新宿駅の様子は、人口70万人の小国から来た招へい者たちの目には驚異に映ったようでした。
また、台場では、日本科学未来館における最新技術体験に大いに刺激を受けたのち、海の無い山岳国家出身の彼らの大半が、初めて見る海の広さに圧倒されていました。
そもそも、彼らは、鉄道に乗ることすら初めての経験であり、見るものすべてに大いに好奇心を覚えていたようで、受け入れ側としても、非常にやりがいを感じる仕事になりました。
彼らが見聞したもののなかから、一つでも、自国へ持ち帰り、糧となってくれれば、本プログラムは成功したと言えるのではないかと思います。